「農業を活用した障害者雇用に興味はあるけれど、何から始めればよいのかわからない」と悩んでいる企業担当者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、採用計画の立て方や農作業の切り出し、受け入れ体制の整備から、農場見学・実習・面接・採用後の定着支援までを5つのステップでわかりやすく解説します。また、活用できる助成金やジョブコーチ支援、導入にかかる費用や期間の目安も紹介します。
障害のある方が安心して長く働ける環境づくりを進めたい企業の方は、ぜひ参考にしてください。
この記事を読むと分かること
- 農業を活用した障害者雇用はどう進める?
- 採用前に企業は何を準備すべき?
- 利用できる助成金や支援制度は?
農業を活用した障害者雇用で企業が準備すべきこと
農業を活用した障害者雇用を成功させるためには、採用することだけでなく、働きやすい環境づくりまで見据えた準備が大切です。自社農園や屋内農園、地域の農業事業者と連携する場合など、それぞれの運営形態に合わせて必要な準備を進めましょう。
障害者雇用の目的や採用計画を決める
まずは、「法定雇用率を達成したい」「人材不足を解消したい」「社会貢献につなげたい」など、障害者雇用に取り組む目的を明確にしましょう。そのうえで、採用人数や雇用形態、勤務時間、就業場所、給与、採用時期などを整理し、無理のない採用計画を立てることが大切です。
また、農場が本社から離れた場所にある場合でも、雇用主である企業には勤怠管理や業務指示、健康管理などの責任があります。スムーズに運営できるよう、人事担当者や現場責任者、支援担当者など、それぞれの役割をあらかじめ決めておくと安心です。
農業で担当する業務内容や役割を整理する
まずは、種まきや苗の植え付け、水やり、収穫、選別、袋詰め、清掃など、農業で必要となる作業を整理しましょう。それぞれの作業について、難易度や必要な体力、作業時間、危険性などを把握しておくことで、一人ひとりの特性や得意なことに合わせた仕事を任せやすくなります。
また、作業手順は写真やイラストを使って分かりやすくまとめ、作業の流れや完了の基準を明確にしておくことも大切です。さらに、季節によって作業量が変わることも考慮し、農閑期には加工や梱包、備品管理など、継続して取り組める仕事を用意しておくと安心です。
受け入れ体制やサポートを整える
安心して長く働いてもらうためには、受け入れ体制を整えることも欠かせません。現場責任者や指導担当者を決め、業務の進め方や相談方法、勤怠確認、定期面談などのルールをあらかじめ決めておきましょう。
また、本人と相談しながら、休憩時間の調整や短時間勤務、作業場所の変更など、必要な配慮を検討することも大切です。
あわせて、熱中症対策や転倒防止、農機具の安全管理、緊急時の連絡体制なども整え、必要に応じて支援機関と連携できる環境をつくることで、安心して働き続けられる職場づくりにつながります。
農業を活用した障害者雇用の流れを5ステップで解説
農業分野で障害者雇用を進める際は、農場見学、農業実習、振り返り、企業面接、採用の順に進めるのが一般的です。ここでは、ファーマーズマーケットで実際に行っている流れをもとに、企業が取り組むべき5つのステップをわかりやすく紹介します。
STEP① 「農場見学」で無理なく実習に進める
まずは農場見学を行い、実際の作業内容や職場の雰囲気を知ってもらいます。
栽培や収穫、選別、袋詰めなどの仕事内容だけでなく、勤務場所や休憩スペース、トイレ、暑さ・寒さへの対策なども確認し、本人が安心して働ける環境かを一緒に確認します。また、写真や作業手順書を使いながら仕事内容を分かりやすく説明し、気になることや不安な点にも丁寧にお答えします。
実際の職場を見学することで働くイメージが持ちやすくなり、本人やご家族にも納得いただいたうえで、次の農業実習へ無理なく進むことができます。
STEP② 「農業実習」実際の業務の中で適性を見極める
農場見学の後は、約2週間の農業実習を行い、実際の仕事を体験してもらいます。実習を通して仕事内容や職場の雰囲気をより具体的に知ることができ、「自分にもできそう」という安心感につながります。
実習中は、スタッフが一人ひとりのペースに合わせて丁寧にサポートします。作業の正確さやスピードだけでなく、指示の理解度や集中できる時間、疲れやすさ、安全面なども確認し、本人に合った働き方を見極めます。
実際に仕事を体験してから採用を判断することで、企業・本人双方のミスマッチを防ぎ、長く安心して働ける環境づくりにつながります。
STEP③ 「振り返り」で、一人ひとりに合った働き方を考える
農業実習の後は、本人と企業担当者、必要に応じて支援機関も交えながら振り返りを行います。実習中の様子を振り返り、「どの作業が得意だったか」「どのようなサポートがあると働きやすいか」を確認し、一人ひとりに合った働き方を一緒に考えていきます。
また、できなかったことだけではなく、環境やサポートを工夫することで改善できる点も整理します。本人の希望を大切にしながら、担当業務や勤務時間、必要な配慮を具体的に決めていくことで、企業・本人双方が安心して次のステップへ進めます。
STEP④ 「企業面接」事前に実習の様子を把握し、スムーズな面接
農業実習と振り返りが終わったら、企業との面接を行います。見学や実習を通して仕事内容や職場の雰囲気を理解したうえで面接に進むため、本人も働くイメージを持ちながら、落ち着いて臨むことができます。
また、企業側も実習中の様子を把握しているため、適性や得意な作業を踏まえたスムーズな面接が可能です。面接では、仕事内容や勤務時間、雇用形態、給与などの労働条件を確認するとともに、必要な配慮やサポート体制についても話し合います。
本人やご家族にも納得いただいたうえで採用を進めることで、入社後のミスマッチを防ぎ、長く安心して働ける環境づくりにつながります。
STEP⑤ 「採用」定着支援があるから企業も従業員も安心
採用が決まったら、労働条件や担当業務、勤務時間、相談窓口、必要な配慮などを本人と確認したうえで勤務を開始します。採用して終わりではなく、定期的な面談やフォローを行いながら、一人ひとりが安心して働き続けられる環境を整えることが大切です。
ファーマーズマーケットでは、日々の農作業だけでなく、収穫祭や野菜の販売など、人や社会と関わる機会も大切にしています。自分たちが育てた野菜を収穫し、お客様へ届ける経験を通して、「自分の仕事が誰かの役に立っている」というやりがいを実感できます。
また、必要に応じて支援機関とも連携しながら継続的にサポートを行うことで、企業・従業員双方が安心して長く働ける環境づくりにつなげています。気になる方はぜひこちらをご覧ください。
利用を検討したい支援制度と助成金一覧!
農業を活用した障害者雇用では、採用や職場定着に関する助成金・支援制度を利用できる場合があります。支給要件や申請期限があるため、採用前にハローワーク、都道府県労働局、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構へ確認しましょう。
特定求職者雇用開発助成金
特定求職者雇用開発助成金の「特定就職困難者コース」は、障害者などの就職が難しい人を継続して雇用する企業に対して支給される助成金です。
原則として、ハローワークや対象となる職業紹介事業者などの紹介を通じて雇い入れる必要があります。農作業、出荷準備、清掃、加工補助などを担う従業員の採用でも、所定の要件を満たせば対象になり得ます。
支給額や助成期間は、障害の区分、労働時間、企業規模などによって異なります。紹介を受ける前に採用を決定すると対象外になる可能性があるため、採用活動の開始時点で確認することが重要です。
トライアル雇用助成金
トライアル雇用助成金は、障害者を一定期間試行雇用し、業務への適性や必要な配慮を確認する企業を支援する制度です。「障害者トライアルコース」と「障害者短時間トライアルコース」があります。
農業では、体力面、作業手順の理解、屋外環境への適応などを実際の仕事を通じて確認できます。短時間勤務から始め、本人の状況に応じて労働時間や担当業務を調整したい場合にも活用を検討できます。
利用にはハローワークなどによる紹介やトライアル雇用求人の提出が必要です。試行雇用後の継続雇用が自動的に保証される制度ではないため、期間中に本人と定期的な振り返りを行いましょう。
障害者雇用相談援助助成金
障害者雇用相談援助助成金は、障害者雇用の経験やノウハウが不足している企業に対し、認定を受けた事業者が雇用管理に関する相談援助を行うための制度です。
相談では、農業に適した業務の切り出し、採用計画の作成、労働条件の設定、社内理解の促進、受け入れ体制の整備などについて支援を受けられます。助成金の申請主体は相談援助を行う認定事業者であり、利用企業へ直接支給される制度ではありません。
初めて障害者雇用に取り組む企業や、農場と本社の連携方法に課題がある企業は、採用前の体制づくりに活用できます。
職場適応援助者によるジョブコーチ支援
ジョブコーチ支援は、職場適応援助者が本人と企業の双方を支援し、職場への定着を促す制度です。地域障害者職業センターなどへ相談することで、支援の必要性や具体的な内容が検討されます。
農業現場では、作業手順の分かりやすい伝え方、指示の出し方、休憩の取り方、従業員との関係づくりなどについて助言を受けられます。本人への作業支援だけでなく、上司や同僚に対する関わり方の提案も含まれます。
企業内にジョブコーチを配置する場合は、一定の要件を満たすことで職場適応援助者助成金の対象になることがあります。利用方法や助成対象は支援形態によって異なるため、事前確認が必要です。
各制度は併給できない場合があり、支給要件や申請手続きも改定されることがあります。雇用契約の締結や採用決定を行う前に、最新の要件と必要書類を確認してください。
Q&A|農業を活用した障害者雇用に関するよくある質問
農業分野で障害者雇用を始める企業から寄せられる、導入期間や費用、事前相談に関する質問へ回答します。
導入から採用まではどれくらいの期間がかかりますか?
ファーマーズマーケットでは、最短3週間で採用まで進むことが可能です。
農場見学や約2週間の実習を通して適性を確認します。本人と企業の双方が納得したうえで採用を進めるため、入社後のミスマッチを防ぎ、長く働き続けられる環境づくりにつながります。
障害者雇用に必要な初期費用はどれくらいですか?
ファーマーズマーケットなら、初期費用や設備投資は0円で障害者雇用を始められます。
農場の運営や設備の準備は不要なため、導入時のコストを抑えながら、安心して障害者雇用に取り組めます。詳しくは相談のうえ、自社に合った導入方法をご提案します。
企業見学や相談だけでも申し込めますか?
はい、企業見学やご相談だけでもお気軽にお申し込みいただけます。
「まずは話を聞いてみたい」「実際の農場を見てから検討したい」という段階でも問題ありません。担当スタッフが丁寧にご案内しますので、障害者雇用をご検討中の企業様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
まとめ
農業を活用した障害者雇用を進めるには、雇用目的と採用計画を明確にし、業務の切り出しや受け入れ体制を整えることが重要です。農場見学、農業実習、振り返り、企業面接、採用の順に進めることで、本人の適性や必要な配慮を確認し、入社後のミスマッチを抑えやすくなります。
また、特定求職者雇用開発助成金やトライアル雇用助成金、ジョブコーチ支援などを活用できる場合があります。要件や申請時期を厚生労働省、ハローワークなどで確認し、支援機関と連携しながら、採用後の定着まで見据えて取り組みましょう。



