「仕事がなかなか続かない」「頑張っているのに長く働けない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、障害のある方が仕事を続けにくい原因を整理し、長く働きやすい職場の特徴や自分に合った仕事を選ぶポイントを解説します。
勤務条件の考え方や職場見学の活用方法、就労移行支援やハローワークなどの相談先も紹介するので、無理なく働き続けられる環境を探すために役立ててみてください。
障害者の農業での働き方とは?特徴や知っておくべき基本
農業は、障害のある方にとっても、自分の得意なことや体力に合わせて働き方を選びやすい仕事の一つです。まずは、農業でどのような働き方ができるのか、特徴や雇用形態などの基本から見ていきましょう。
障害者が農業で活躍する「農福連携」とは
農福連携とは、農業と福祉が協力し、障害のある方が農業の現場で働いたり、社会参加したりする機会を広げる取り組みです。農業側にとっては人手不足の解消や作業の分担につながり、障害のある方にとっては新たな働き方の選択肢になります。
実際の現場では、一人ひとりが取り組みやすいように作業工程を分けたり、写真や図を使った手順書を用意したりすることがあります。また、こまめに休憩を取れるようにする、扱いやすい道具を用意するなど、安全に働くための工夫も行われています。
大切なのは、本人の希望や得意なことを踏まえて、無理なく続けられる仕事を考えることです。本人だけでなく、農業者や支援員なども相談しながら、仕事内容や必要なサポートを決めていきます。
障害者が農業で働く主な雇用形態と特徴
障害のある方が農業に携わる方法は一つではありません。農業法人や農家に直接雇用されるほか、就労継続支援などの福祉サービスを利用して農作業に取り組む方法もあります。
農業法人や農家に雇用される場合は、雇用契約を結び、決められた給与や勤務時間などの条件で働きます。障害者雇用の求人では、仕事内容だけでなく、勤務時間や通院への配慮、職場で受けられるサポートなどを確認できる場合もあります。
就労継続支援A型では、事業所と雇用契約を結び、必要な支援を受けながら働きます。一方、就労継続支援B型では雇用契約を結ばず、体調や生活状況に合わせて作業する時間や日数を調整しながら働くことができます。
そのほか、農業では短時間勤務や季節に合わせた雇用など、職場によってさまざまな働き方があります。どの働き方が合っているかは障害の種類だけで判断せず、体力や通院状況、希望する収入、勤務時間、必要なサポートなども含めて考えることが大切です。
障害者が農業で担当する仕事内容はなにがある?
農業には、種まきや収穫だけでなく、選別や袋詰め、農場の管理など幅広い仕事があります。ここでは、障害のある方が農業の現場で担当する主な仕事内容を具体的に紹介します。
種まきや苗植えなどの栽培作業
農作物を育てるための種まきや苗植えは、農業の基本となる仕事の一つです。決められた場所に種や苗を植えるほか、ポットに土を入れる、苗を種類ごとに分ける、水やりをするといった作業を担当することもあります。
作物によっては、同じ手順を繰り返す作業も多くあります。植える位置や作業の順番がわかりやすいように、写真や見本、チェック表などを使いながら進める職場もあります。
収穫や選別・袋詰めなどの出荷作業
育った野菜や果物を収穫し、出荷できる状態に整える仕事もあります。収穫した作物をコンテナに入れたり、傷がつかないよう注意しながら運んだりする作業も仕事の一つです。
収穫後は、大きさや形、傷の有無などを確認して作物を選別します。その後、重さを量って袋やパックに詰め、ラベルを貼ったり箱に詰めたりして出荷の準備を進めます。職場によっては、商品の数や状態を確認する作業を担当することもあります。
草取りや清掃などの農場管理・軽作業
作物を育てやすい環境を保つためには、畑やハウスの管理も欠かせません。草取りや不要な葉・枝の片付け、使用した農具の洗浄など、農場をきれいに保つための仕事があります。
ほかにも、通路や作業場の清掃、農業資材の整理、使用済みの容器の回収など、比較的取り組みやすい軽作業もあります。最初は手順がわかりやすい作業から始め、仕事に慣れてきたら少しずつ担当できる作業を増やしていくことも可能です。
障害者が農業で働くデメリットと注意点とは?
農業は自分に合った作業を見つけやすい一方で、働く環境や雇用条件によっては負担を感じることもあります。長く無理なく働くためにも、仕事内容や勤務条件を確認し、必要な配慮があれば事前に相談しておきましょう。
収入や雇用条件が安定しない場合がある
農業の仕事には、正社員だけでなく、パートや短期雇用などさまざまな働き方があります。また、福祉サービスを利用して農作業に携わるケースもあり、働き方によって収入や勤務時間、社会保険などの条件が異なります。
さらに、農業は農繁期と農閑期で必要な人手が変わるため、時期によって勤務日数や勤務時間が変わる職場もあります。応募する際は、給与だけでなく、契約期間や勤務時間、契約更新の有無なども確認しておくことが大切です。
天候や季節によって仕事量が変わる
農業は自然を相手にする仕事なので、天候や季節によって仕事量が変わりやすい特徴があります。雨や雪、強風などで屋外作業ができなくなったり、作物の生育状況によって予定していた作業が変更になったりすることもあります。
そのため、天候が悪い日はどのような仕事をするのか、勤務日の変更はあるのかなどを事前に確認しておくと安心です。選別や袋詰めなど、天候に左右されにくい屋内作業が用意されている職場もあります。
暑さや寒さなど環境面の負担がある
屋外での農作業では、季節によって暑さや寒さが大きな負担になることがあります。特に夏場は強い日差しのなかで作業することもあるため、水分補給や適度な休憩などの暑さ対策が欠かせません。
暑さや寒さが苦手な場合は、無理をせず事前に相談しておくことが大切です。休憩を取りやすい環境か、気温に合わせて作業時間を調整できるか、屋内作業に変更できるかなどを確認しておきましょう。
体力や安全面に配慮が必要になる
農業では、長時間立ったまま作業したり、しゃがんだ姿勢を続けたり、収穫した作物や資材を運んだりすることがあります。そのため、担当する仕事によっては体力的な負担を感じる可能性があります。
また、農具や農業機械、刃物などを使用する仕事では、安全面にも十分な注意が必要です。作業を始める前に使い方や注意点を教えてもらい、難しい作業や危険を感じる作業は無理に一人で行わないようにしましょう。
障害の特性や体調によって難しい作業がある場合は、作業時間や休憩の取り方、使用する道具、指示の出し方などを相談することもできます。困ったときに相談できる担当者がいるかどうかも、職場を選ぶ際に確認しておきたいポイントです。
農業で働く前に知っておきたい課題や、負担を減らすための対策については、障害のある方が農業に就職する際のデメリットや注意点を解説した記事も参考にしてください。
障害者が農業で働くうれしいメリット!
農業には、自分の得意な作業を見つけやすく、体を動かしながら働けるなど、さまざまな魅力があります。ここでは、障害のある方が農業で働くメリットについて詳しく見ていきましょう。
未経験でも自分のペースで働きやすい
農業には、種まきや収穫、選別、袋詰めなど、未経験から始められる仕事が多くあります。決められた手順に沿って進める作業もあるため、農業の経験がない方でも少しずつ仕事を覚えていけます。
また、職場によっては、体調や障害の特性に合わせて勤務時間や休憩の取り方を相談することも可能です。研修やマニュアルを用意している農場であれば、仕事の進め方を確認しながら自分のペースで慣れていけるでしょう。
「農業の経験がなくても働けるの?」と不安な方は、未経験から農業で働く方法や仕事内容、注意点を解説した記事も参考にしてください。
自然の中で体を動かすことで健康維持につながる
農業では、畑やハウスなどで体を動かしながら仕事をする機会が多くあります。デスクワークとは違い、座ったまま長時間過ごすことが少ないため、体を動かす仕事が好きな方にも向いています。
屋外では日光や風、季節の変化を感じながら働けることも農業ならではの特徴です。ただし、作業によっては体への負担もあるため、無理をせず、こまめな休憩や水分補給を取りながら働くことが大切です。
作物の成長や収穫にやりがいを感じられる
自分が種をまいたり手入れをしたりした作物が少しずつ育ち、最後に収穫できることは、農業ならではのやりがいです。自分が担当した仕事の成果を目で確認しやすいため、「ここまで育てられた」「今日もこれだけ収穫できた」と達成感を得られることもあります。
収穫した作物が出荷され、商品として誰かのもとへ届くことも仕事へのモチベーションにつながります。日々の作業がどのような成果につながっているのかを実感しやすい仕事といえるでしょう。
人によってはオフィスワークと比べてストレスが少ない
農業では、パソコンを使ったデスクワークや電話対応、接客などが少なく、一つの作業に集中して取り組める仕事もあります。そのため、人とのコミュニケーションが多い仕事や長時間のデスクワークに負担を感じやすい方にとっては、農業のほうが働きやすいと感じることもあるでしょう。
もちろん、農業でも周囲の人との連携は必要ですし、どのような環境が働きやすいかは人によって異なります。求人を選ぶ際は、実際の仕事内容や職場環境を確認し、自分の得意・不得意や必要な配慮と合っているかを考えることが大切です。
農業ならではの働きやすさや、どのような方に向いているのかをさらに詳しく知りたい方は、障害のある方に農業がおすすめな理由やメリット・デメリットを解説した記事も参考にしてみてください。
気になるなら?障害者が農業の仕事を始める方法まとめ
農業の仕事に興味があっても、「どこで求人を探せばいいの?」「自分にもできるのかな?」と迷う方もいるでしょう。農業で働く方法はいくつかあるため、自分の体調や希望する働き方に合った方法を選ぶことが大切です。
求人探しから職場見学・実習、応募、面接、採用までの進め方を詳しく知りたい方は、障害者が農業に就職するまでの流れを解説した記事も参考にしてください。
障害者雇用支援「ファーマーズマーケット」を活用する
「農業の仕事に興味はあるけれど、自分にもできるか不安」という方は、障害者雇用支援「ファーマーズマーケット」を活用する方法があります。ファーマーズマーケットでは、障害を一人ひとりの個性として捉え、できること・できないことや得意・不得意に合わせて農作業を分け、働きやすく安全な職場づくりに取り組んでいます。
農場では、農作物の栽培などを通して、企業の社員として働くことを目指せるのが特徴です。農業に取り組むことで、体を動かす機会になるだけでなく、作物を育てる喜びや達成感、仲間と一緒に働く経験にもつながります。
自分の得意なことを生かして農業で働きたいという方は、就職先を探す際の選択肢として検討してみましょう。
農場を見学すると、実際の仕事内容や職場の雰囲気、休憩の取り方、サポート体制などを自分の目で確認できます。障害のある方向けの農業見学の流れやチェックポイントについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
気になる方はぜひこちらをご覧ください。
ハローワークで求人を探す
ハローワークでは、農業法人や農園などが募集している障害者雇用の求人を探すことができます。希望する仕事内容や勤務時間、勤務地などの条件を伝えながら、自分に合った求人を相談できるのが特徴です。
また、応募書類の作成や面接について相談することもできます。勤務時間を調整できるか、通院と仕事を両立できるかなど、求人票だけでは分からないことがあれば、応募する前に確認しておくと安心です。
障害者就業・生活支援センターに相談する
障害者就業・生活支援センターでは、仕事に関する悩みだけでなく、生活面も含めて相談できます。「農業に興味はあるけれど自分に向いているか分からない」「働くうえで不安なことがある」といった段階でも相談可能です。
必要に応じて、職場見学や実習、関係機関との連携などもサポートしてもらえます。就職した後も、仕事内容や勤務時間などで困ったことがあれば、職場との調整を支援してもらえる場合があります。
就労継続支援A型とB型を利用する
いきなり一般企業で働くことに不安がある場合は、就労継続支援A型・B型を利用して農作業に取り組む方法もあります。農作物の栽培や収穫、袋詰めなどを仕事として取り入れている事業所もあります。
A型は事業所と雇用契約を結び、必要な支援を受けながら働くサービスです。一方、B型では雇用契約を結ばず、体調などに合わせて利用する日数や作業時間を調整しながら働くことができます。
利用を考えている場合は、仕事内容や利用日数、賃金・工賃、送迎の有無などを確認しておきましょう。気になる事業所が見つかったら、見学や体験を利用して、実際の作業や職場の雰囲気が自分に合っているか確かめてみることも大切です。
まとめ
障害者が農業で働く方法には、農福連携による雇用や、就労継続支援A型・B型の利用などがあります。栽培、収穫、選別、袋詰め、草取りといった作業は、未経験でも取り組みやすく、自然の中で働くやりがいを感じやすい点が魅力です。一方、季節や天候による仕事量の変化、暑さ・寒さ、体力面の負担には注意が必要です。自分に合う働き方を見つけるため、ハローワークや障害者就業・生活支援センターへ相談しましょう。



