「障害のことをどこまで話せばいいの?」「詳しく伝えすぎて選考に影響しないかな」と、不安に感じる方もいるのではないでしょうか?
この記事では、会社に伝えておきたい内容や伝えるタイミング、分かりやすく伝えるためのポイントを解説します。
面接や入社後に使える伝え方の例も紹介するので、障害についてどのように説明すればよいか迷っている方は参考にしてみてください。
障害者雇用では障害をどこまで開示する必要がある?
障害者雇用だからといって、障害についてすべて詳しく話さなければならないわけではありません。ここでは、会社にどこまで伝える必要があるのか、開示する内容の考え方をわかりやすく解説します。
基本は「仕事や配慮に関係する範囲」まで伝えればOK!
会社には、仕事をするうえで必要な範囲の情報を伝えることが基本です。たとえば、苦手な作業や体調を崩しやすい状況、仕事の指示を受けるときに工夫してほしいこと、通院のために必要な勤務時間の調整などが挙げられます。
障害者雇用枠に応募する場合は、障害者雇用で働きたいことを会社に伝えます。また、応募条件の確認や入社後の手続きなどで、障害者手帳の提示を求められることもあります。
大切なのは、障害に関する情報を何でも伝えることではなく、「働くうえで会社に知っておいてもらいたいこと」を整理することです。
障害名や診断名は必ず伝える必要があるのか
障害名や診断名だけを伝えても、どのような仕事ができて、どのような配慮が必要なのかまで会社が判断できるとは限りません。そのため、障害名を伝える場合は、仕事にどのような影響があるのかも一緒に説明すると伝わりやすくなります。
たとえば、同じ障害名でも、苦手なことや必要なサポートは人によって異なります。「この障害があるから○○ができない」と説明するのではなく、「○○の場合は難しいですが、△△のようにしてもらえれば対応できます」と伝えると、実際の働き方をイメージしてもらいやすくなります。
会社から障害の種類や状態などについて質問された場合、なぜその情報が必要なのか分からなければ、確認してから答えてもよいでしょう。
症状や苦手なことはどこまで伝えるべき?
症状や苦手なことについては、仕事への影響と必要な対応が分かる程度まで伝えておくとよいでしょう。
たとえば、「コミュニケーションが苦手です」と伝えるだけでは、会社側もどのように対応すればよいのか分かりにくいものです。「一度に複数の指示を口頭で受けると混乱しやすいため、メモやチャットでも指示をもらえると対応しやすい」と具体的に伝えると、必要な配慮が分かりやすくなります。
すべての症状や苦手なことを細かく説明する必要はありません。仕事中に起こる可能性がある症状や安全に関わること、仕事を続けるために配慮してほしいことを中心に伝えましょう。
何を話せばよいか迷ったときは、「できること」「難しいこと」「必要な配慮」の3つに分けて整理すると、会社に伝える内容をまとめやすくなります。
会社に伝えておきたい障害の内容と必要な配慮
障害について会社に伝えるときは、仕事への影響や必要な配慮を具体的に整理しておくことが大切です。ここでは、安心して働き続けるために、会社へ伝えておきたい内容を紹介します。
障害の特性や仕事に影響する症状
会社には障害名だけでなく、仕事をするうえでどのような影響があるのかも伝えておきましょう。
たとえば、「長時間集中することが難しい」「音や光に敏感」「疲れやすい」「日によって体調に波がある」などが挙げられます。
障害に関するすべての症状を細かく説明する必要はありません。実際の仕事や職場での過ごし方に関係するものを中心に、「どのようなときに困りやすいのか」まで伝えると、会社側も必要な対応を考えやすくなります。
苦手な作業や避けたほうがよい環境
仕事をするうえで苦手な作業がある場合は、具体的に伝えておくと安心です。「一度に複数の指示を受けると混乱しやすい」「急な予定変更への対応に時間がかかる」「長時間立ち続けることが難しい」など、どのような場面で負担を感じるのかを説明しましょう。
また、騒音が大きい場所や強い照明、人の出入りが多い場所など、苦手な環境がある場合も伝えておくことが大切です。
その際は、苦手なことだけでなく、「一つずつ指示をもらえれば対応できる」「静かな場所であれば集中できる」など、どのような環境なら働きやすいのかも一緒に伝えると、会社側も対応を検討しやすくなります。
職場で必要となる具体的な配慮
必要な配慮については、「配慮してほしい」と伝えるだけでは、会社側も具体的に何をすればよいのか分からないことがあります。自分が働きやすくなる方法を、できるだけ具体的に伝えましょう。
たとえば、「口頭の指示だけでなくメモやメールでも伝えてほしい」「仕事の優先順位を明確にしてほしい」「静かな場所で作業したい」といった伝え方があります。
ほかにも、定期的に面談する時間を設けてもらう、休憩できる場所を確保してもらう、困ったときの相談相手を決めてもらうなど、必要な配慮は人によってさまざまです。自分が無理なく働き続けるために何が必要なのかを整理し、会社と相談しながら決めていきましょう。
通院や服薬による勤務への影響
定期的な通院が必要な場合は、どのくらいの頻度で通院するのか、勤務時間の変更や休暇が必要になるのかを伝えておきましょう。あらかじめ分かっている予定を共有しておけば、会社側も勤務スケジュールを調整しやすくなります。
また、服薬によって眠気やだるさなどが出て、仕事に影響することがある場合も、必要な範囲で伝えておくと安心です。
薬の名前や治療の細かい内容まですべて説明するのではなく、仕事や安全面にどのような影響があるのかを中心に伝えるとよいでしょう。
体調が悪化したときのサインと対応
体調を崩す前に自分で気づけるサインがある場合は、会社にも共有しておくと安心です。たとえば、「集中できなくなる」「疲れが強くなる」「不安が強くなる」など、自分に起こりやすい変化を伝えておきます。
あわせて、体調が悪くなりそうなときにどうすれば回復しやすいのかも伝えておきましょう。「少し休憩を取る」「一時的に仕事量を減らす」「静かな場所で休む」など、具体的な対応方法が分かっていれば、職場側もサポートしやすくなります。
体調が大きく崩れてから対応するのではなく、早めに相談できる状態をつくっておくことが、無理なく働き続けることにもつながります。
障害者雇用で開示が必要になりやすい情報とは?
障害者雇用では、無理なく働き続けるために、勤務条件や仕事上の配慮に関係することを会社へ伝えておくことが大切です。プライベートなことまですべて話す必要はないため、「仕事をするうえで会社に知っておいてほしいこと」を中心に整理してみましょう。
勤務時間や休憩に関する希望
通院や服薬、疲れやすさなどによって勤務時間の調整が必要な場合は、応募時や入社前に相談しておくと安心です。短時間勤務を希望する、通院日は早めに退勤したい、決まった時間に休憩を取りたいなど、自分が無理なく働ける条件を伝えましょう。
たとえば、「毎週火曜日は通院があるため、1時間早く退勤したい」「長時間続けて作業すると集中力が落ちやすいため、短い休憩を取りたい」など、理由と希望する対応をセットで伝えると分かりやすくなります。
ただ「勤務時間を配慮してほしい」と伝えるよりも、いつ・どのくらいの調整が必要なのかを具体的にすることで、会社側も対応できるか判断しやすくなります。
コミュニケーションや指示の受け方
仕事の指示や周囲とのコミュニケーションで困りやすいことがあれば、それも伝えておきたいポイントです。「口頭だけでは内容を覚えにくい」「一度にいくつもの指示を受けると混乱しやすい」「急な予定変更への対応が苦手」など、実際に困りやすい場面を説明しましょう。
そのうえで、「指示は一つずつ出してほしい」「メモやメールでも作業内容を確認できるようにしてほしい」「予定が変わる場合はできるだけ早めに教えてほしい」など、どのようにしてもらえれば対応しやすいのかまで伝えることが大切です。
苦手なことだけでなく、対応できる方法も一緒に伝えることで、会社側も具体的な配慮を考えやすくなります。
例文付き|障害を伝えるタイミングと上手な伝え方!
障害について「いつ、どのように伝えればいいの?」と迷う方もいるでしょう。大切なのは、障害名だけを伝えるのではなく、仕事への影響や自分でできること、必要な配慮まで具体的に説明することです。
伝えるタイミングは「応募・面接時」や「入社前」「入社後困ったとき」!
障害者雇用で応募する場合は、応募書類や面接で障害の特性や必要な配慮について伝えるのが一般的です。あらかじめ伝えておくことで、企業側も仕事内容との相性や、どのような配慮ができるのかを検討しやすくなります。
面接ですべてを伝えきれなかった場合は、内定後や入社前に改めて相談することもできます。また、働き始めてから初めて分かる困りごともあるため、その場合は一人で抱え込まず、早めに上司や人事担当者へ相談しましょう。
伝えるタイミングとしては、次のような場面があります。
- 応募書類や面接で障害者雇用を希望するとき
- 内定後や入社前に必要な配慮をすり合わせるとき
- 入社後に仕事内容や職場環境で困りごとが出てきたとき
- 体調や通院状況が変わり、仕事に影響が出そうなとき
障害名だけでなく仕事への影響を説明
障害名や診断名だけでは、実際に仕事でどのようなことに困るのか、企業側がイメージできないことがあります。そのため、「どのような場面が苦手なのか」「どのような方法なら対応できるのか」まで伝えることがポイントです。
次のように伝えると分かりやすくなります。
「発達障害の診断を受けています。一度に複数の指示を口頭で受けると整理するのが難しいため、メモやチャットでも共有していただけると、確認しながら正確に対応できます」
「現在うつ病の治療を続けており、体調は安定しています。ただ、長時間勤務が続くと体調を崩しやすいため、勤務時間や仕事量について相談しながら働けると助かります」
このように、仕事への影響と対応方法をセットで説明すると、企業側も必要な配慮を考えやすくなります。
できることと難しいことの伝え方
障害について説明するときは、苦手なことやできないことばかりを伝える必要はありません。自分ができる仕事や得意なことも一緒に伝えることで、企業側も任せられる仕事を考えやすくなります。
「電話では聞き取りにくいことがあるため対応が難しいですが、メールやチャットでの問い合わせ対応、データ入力などは集中して取り組めます」
「急な予定変更には慣れるまで時間がかかりますが、事前に変更内容を共有していただければ対応できます」
このように、「○○は難しいですが、△△ならできます」と伝えると、自分の働き方をより具体的に理解してもらえるでしょう。
前向きな対策や工夫もあわせて伝えるのが大切
普段から自分で行っている工夫があれば、それも伝えておきましょう。自分なりの対策を説明することで、安定して働くためにどのような方法が役立つのかを企業側と共有できます。
たとえば、「作業の抜け漏れを防ぐためにチェックリストを使っています」「疲れを感じたら早めに休憩を取り、無理をしないようにしています」など、実際に行っている方法を伝えます。
必要な配慮だけでなく、自分でも工夫していることを一緒に伝えることがポイントです。
必要な配慮を具体的に伝える
必要な配慮については、「配慮してほしい」とだけ伝えるのではなく、どのように対応してもらえると働きやすいのかまで具体的に説明しましょう。
たとえば、「仕事の指示は、作業内容と期限を箇条書きで共有していただけると、優先順位を確認しながら進められます」と伝えれば、企業側も対応方法をイメージしやすくなります。
通院が必要な場合は、「定期的に通院があるため、通院日は事前に申請したうえで勤務時間を調整したい」、音に敏感な場合は、「周囲の音が多いと集中しにくいため、可能であれば比較的静かな席で作業したい」など、具体的に伝えてみましょう。
希望する配慮に優先順位をつけておこう
必要な配慮がいくつかある場合は、「働き続けるために欠かせないもの」と「できれば対応してほしいもの」に分けておくと伝えやすくなります。
たとえば、「通院のための勤務時間の調整は必要です。可能であれば、仕事の指示も文章で共有していただけると助かります」といった伝え方です。
希望した配慮がすべて同じ形で実現できるとは限らないため、優先順位を整理したうえで、企業と相談しながら無理なく働ける方法を決めていきましょう。
まとめ
障害者雇用で開示する内容は、障害名や診断名をすべて詳しく伝えるのではなく、仕事への影響や必要な配慮に関係する範囲が基本です。苦手な作業、避けたい環境、通院による勤務への影響、体調悪化のサインなどを、具体例とともに説明しましょう。できることや自分なりの対策も伝えると、企業は配慮を検討しやすくなります。応募・面接時や入社前に伝え、必要に応じて入社後も相談することが大切です。



