「障害者雇用でも正社員になれるの?」「ずっと契約社員のままなのかな」と、将来の働き方に不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、障害者雇用における正社員の割合や就職件数、定着率などのデータを紹介しながら、正社員になるための方法をわかりやすく解説します。
安定した勤務や体調管理、必要な配慮の伝え方、仕事に必要なスキルなど、企業から評価されやすいポイントや求人選びの注意点も紹介するので、自分に合った働き方で正社員を目指すための参考にしてみてください。
障害者雇用から正社員になれる?実際のデータをチェック
障害者雇用でも正社員を目指すことはできますが、「実際にどのくらいの人が正社員として働いているの?」と気になる方もいるでしょう。ここでは、正社員の割合や就職状況などのデータをもとに、障害者雇用の現状を見ていきます。
障害者雇用の正社員割合
厚生労働省の「令和5年度障害者雇用実態調査」を見ると、正社員として働いている人の割合は、障害の種類によって違いがあります。
| 障害の種類 | 正社員の割合 |
| 身体障害者 | 約59.3% |
| 知的障害者 | 約20.3% |
| 精神障害者 | 約32.7% |
| 発達障害者 | 約36.6% |
この結果から、障害者雇用で正社員として働いている人は一定数いることがわかります。一方で、契約社員やパートなどの非正規雇用からスタートする人も少なくありません。
正社員になれるかどうかは、障害の種類だけで決まるものではありません。勤務時間、業務内容、体調の安定性、職場で必要な配慮などを踏まえて、企業ごとに採用条件が判断されます。
障害者雇用の就職件数と定着率
厚生労働省の「令和5年度障害者の職業紹介状況等」によると、ハローワークを通じて就職した障害者は、令和5年度に11万5,609件となっています。障害のある方が実際に多くの職場へ就職していることが分かります。
ただし、この数字には正社員だけでなく、契約社員やパート、アルバイトなども含まれています。そのため、「就職件数=正社員として採用された人数」ではない点には注意しましょう。
また、就職した後に長く働き続けられるかどうかも大切です。障害者職業総合センターの調査では、就職から1年後の職場定着率は全体で約6割となっています。
正社員になることを目標にするのはもちろんですが、長く働くためには、自分に合った仕事内容や勤務時間であること、必要な配慮を受けられることも欠かせません。「正社員になれるか」だけでなく、「無理なく続けられるか」という視点も持ちながら職場を選ぶことが大切です。
どんな方法がある?障害者雇用から正社員を目指す主な方法!
障害者雇用から正社員を目指す方法は、一つだけではありません。最初から正社員として応募するほか、契約社員などで経験を積んでから正社員を目指す方法もあるため、自分の体調や経験、希望する働き方に合わせて選びましょう。
正社員求人に直接応募する
障害者雇用には、最初から正社員として募集している求人もあります。求人サイトや企業の採用ページなどから、仕事内容や勤務地、勤務時間、必要な経験・スキルなどを確認して応募します。
これまでの経験を生かせる仕事がある方や、フルタイムで安定して働ける方にとっては、最初から正社員を目指せる方法です。応募書類や面接では、これまで経験してきた仕事や得意なことに加えて、働くうえで必要な配慮についても具体的に伝えておきましょう。
契約社員から正社員登用を目指す
最初は契約社員や嘱託社員として働き、一定期間の勤務を経て正社員登用を目指す方法もあります。まずは仕事や職場に慣れてから正社員になりたい方や、未経験の仕事に挑戦したい方にも選択肢の一つとなります。
働きながら実績を積める一方で、「正社員登用制度あり」と書かれていても、必ず正社員になれるとは限りません。登用されるまでの期間や条件、これまでに実際に登用された人がいるかなどは、企業によって異なります。
ハローワークや転職エージェントを利用する
「自分だけで正社員求人を探すのが難しい」という方は、ハローワークや障害者向けの転職エージェントを利用する方法もあります。
ハローワークでは、障害のある方を対象とした求人の紹介をはじめ、応募書類の作成や面接について相談できます。希望する仕事内容や勤務条件、必要な配慮などを相談しながら求人を探せるのも特徴です。
障害者向けの転職エージェントでも、希望に合った求人の紹介や応募書類の確認、面接対策などのサポートを受けられる場合があります。サービスによって扱っている求人や利用条件が異なるため、自分に合ったところを選びましょう。
就労移行支援を活用して就職する
「すぐに正社員として働くのは少し不安」「まずは働くための準備をしたい」という方は、就労移行支援を利用する方法もあります。
就労移行支援では、一般企業への就職を目指す障害のある方に向けて、仕事に必要なスキルを身につけるための訓練や就職活動のサポートを行っています。事業所によっては、パソコン操作やビジネスマナーを学んだり、応募書類の作成や面接練習、企業実習などを経験したりできます。
就職した後も、職場で困っていることについて相談できる場合があります。まずは生活リズムや仕事に必要なスキルを整えてから就職を目指したい方は、就労移行支援事業所や自治体の窓口に相談してみましょう。
正社員になるためには?企業から評価されるポイント6選!
障害者雇用で正社員を目指すには、業務を安定して続けられることに加え、自分の特性を理解し、周囲と協力して働く姿勢を示すことが大切です。企業が評価する基準は求人や職種によって異なりますが、次の6つは多くの職場で重視されやすいポイントです。
① 安定した勤務ができる
企業は、決められた勤務日や勤務時間に安定して出勤できる人を評価します。体調面に不安がある場合は、通院日や休憩の取り方をあらかじめ整理し、無理なく働ける勤務条件を検討しましょう。
遅刻や欠勤を減らすために、生活リズムを整えることも重要です。やむを得ず休む場合に、早めに連絡して業務への影響を伝えられると、責任感のある対応として評価されやすくなります。
② 自分の特性や体調を理解していて管理できる
自分の障害特性や体調が変化しやすい状況を理解していることも、重要な評価ポイントです。苦手な業務、集中しやすい時間帯、疲労のサインなどを把握しておくと、安定した働き方につなげられます。
体調が悪化したときの対処法や相談先を整理し、自分で実践できる状態を目指しましょう。すべてを一人で解決する必要はありませんが、必要な支援を適切なタイミングで求める姿勢が大切です。
③ 必要な配慮を整理、具体的に伝えられる
障害者雇用では、企業に合理的配慮を相談できる場合があります。ただし、「配慮してほしい」と伝えるだけでなく、どのような場面で困るのか、どのような対応があれば業務を続けやすいのかを具体的に説明することが重要です。
たとえば、指示を口頭だけでなく書面でも受けたい、業務の優先順位を確認したい、定期的に休憩を取りたいなど、業務に関連した配慮として伝えます。配慮を受けた場合の効果も説明できると、企業が職場環境を検討しやすくなります。
④ 業務に必要なスキルや知識がある
正社員として働くには、担当する仕事に必要な知識やスキルを身につけていることが求められます。パソコン操作、書類作成、電話対応、専門資格など、応募する職種に合った能力を確認しましょう。
未経験の仕事でも、これまでの経験や訓練で身につけたことを具体的に伝えられれば、採用担当者に強みを理解してもらいやすくなります。業務で活かせる資格取得や職業訓練への取り組みも、学習意欲のアピールになります。
⑤ 報告・連絡・相談ができ、周囲と協力して働ける
職場では、一人で業務を完結できない場面も多くあります。仕事の進捗状況を報告する、必要な情報を連絡する、判断に迷ったときに相談するという基本的な行動が大切です。
ミスやトラブルが起きた場合も、隠さず早めに伝えることで、問題の拡大を防げます。相手の話を聞き、指示内容を確認しながら対応できる人は、周囲と協力して働ける人材として評価されやすいでしょう。
⑥ 長く働きたいという意欲や姿勢がある
企業は、採用後に長く活躍してくれる人材を求めています。応募先の仕事内容や勤務条件を理解したうえで、なぜその企業で働きたいのか、どのような仕事に取り組みたいのかを説明できると、就業意欲が伝わります。
正社員になりたいという希望だけでなく、まずは担当業務を覚え、できる仕事を増やしていく姿勢を示すことも重要です。業務改善やスキルアップに前向きに取り組む姿勢は、将来の正社員登用を考えるうえでも評価されます。
障害者雇用で正社員を目指す際の注意点
障害者雇用で正社員を目指すときは、「正社員登用あり」という言葉だけで求人を決めないことが大切です。実際の登用条件や働き方、正社員になった後も必要な配慮を受けられるかなど、長く働くことを考えて確認しておきましょう。
正社員登用制度が必ず利用できるとは限らない
契約社員やパートなどで入社した場合、正社員登用制度があっても、希望すれば必ず正社員になれるわけではありません。一定期間の勤務実績や仕事への評価、面接、上司からの推薦など、企業ごとに登用の条件が決められています。
また、「正社員登用制度あり」と書かれていても、実際には登用された人が少ないケースもあります。将来的に正社員を目指している場合は、どのような条件を満たせば登用されるのか、これまでにどのくらいの登用実績があるのかを確認しておきましょう。
なお、有期労働契約が同じ会社で通算5年を超えた場合、本人が申し込むことで無期労働契約へ転換できる「無期転換ルール」があります。ただし、「契約期間の定めがなくなること」と「正社員になること」は同じではないため、混同しないよう注意が必要です。
求人票で雇用期間と登用実績を確認する
求人票を見るときは、現在の雇用形態だけでなく、契約期間や更新の有無、更新条件、試用期間、正社員登用制度などもチェックしましょう。
「正社員登用あり」と記載されていても、「何年働けば対象になるのか」「どのような評価が必要なのか」までは分からないことがあります。気になる場合は、応募や面接の際に「正社員登用までの目安はどのくらいですか?」「これまでに登用された方はいますか?」などと確認しておくと安心です。
内定後は、求人票や面接で聞いた内容だけで判断せず、実際の労働条件もしっかり確認してから入社を決めましょう。
勤務時間や給与、福利厚生を比較する
正社員を目指していると、どうしても「正社員になれるか」に目が向きがちですが、実際の働き方や待遇も大切です。勤務時間や残業、休日、給与、賞与、昇給、社会保険、各種手当などを確認し、自分の希望と合っているかを比べてみましょう。
また、正社員になることで勤務時間が長くなったり、担当する仕事が増えたりする場合もあります。通院のための勤務時間調整や休憩など、現在受けている配慮が正社員登用後も続けられるか確認しておくことも重要です。
正社員になることだけをゴールにせず、仕事内容や職場環境、受けられる配慮、将来のキャリアなども含めて、「この職場なら無理なく長く働けそうか」という視点で選びましょう。
まとめ
障害者雇用から正社員になることは可能です。正社員求人へ直接応募するほか、契約社員からの登用、ハローワークや転職エージェント、就労移行支援の利用など、複数の方法があります。企業から評価されるには、安定した勤務、体調や特性の管理、必要な配慮の説明、業務スキル、報告・連絡・相談、長く働く意欲が重要です。ただし、正社員登用が保証されているとは限りません。求人票で登用実績や雇用期間、勤務条件を確認し、自分に合う職場を選びましょう。



