「自社の障害者雇用義務は何人?」「計算方法が複雑でよくわからない…」とお悩みの人事担当者様へ。
令和6年度から法定雇用率が引き上げられ、正確な実雇用率の把握は重要課題ですよね。
この記事では、障害者雇用率の計算方法を3つの簡単なステップで徹底解説します。本記事を読めば、誰でも迷うことなく自社の雇用率を正確に算出し、法令遵守に向けた準備を進めることができます。
この記事を読むと分かること
- 障害者雇用率はどう計算する?
- 対象となる従業員の範囲やカウント方法は?
- 法定雇用率を達成しない場合、どのようなペナルティやリスクがある?
そもそも障害者雇用率とは?制度の目的と対象企業
障害者雇用率とは、「障害者雇用促進法」に基づいて定められた制度で、企業に対して一定割合以上の障がい者を雇用することを義務付けるものです。
この制度の目的は、障害のある方が自分の能力を活かして働き、社会に参加できる機会を広げることにあります。
企業は法律で定められた「法定雇用率」を満たす必要があり、いま自社でどれくらい障がい者を雇用しているかを示す「実雇用率」を毎年算出し、ハローワークへ報告しなければなりません。
法定雇用率の最新情報(令和6年度以降)
法定雇用率は、社会情勢の変化などを踏まえて定期的に見直されます。
令和6年(2024年)4月1日から、民間企業における法定雇用率は従来の2.3%から2.5%へと引き上げられました。これは、対象となる事業主の範囲が拡大されたことに伴う措置です。
さらに、この法定雇用率は段階的に引き上げられることが決まっており、令和8年(2026年)7月からは2.7%となる予定です。
企業の担当者は、自社がこの法定雇用率を達成できているか、常に最新の情報を把握しておく必要があります。
障害者雇用率の計算対象となる企業とは?
障害者雇用率の計算や報告が必要になるのは、一定数以上の従業員を雇用している企業です。
これまでの基準は「従業員43.5人以上」でしたが、法改正により、2024年4月1日からは「従業員40人以上」の企業へと対象が拡大されました。
ここでいう「常時雇用する労働者」には、正社員だけでなく、週20時間以上働くパートやアルバイトも含まれます。そのため、これまで対象外だった中小企業でも、新たに対象となるケースが増えています。自社の従業員数を正しく把握し、対象に当てはまるかを確認しておくことが大切です。
【簡単】障害者雇用率の計算方法3ステップ!
障害者雇用率(実雇用率)の計算は、一見複雑に思えるかもしれませんが、3つのステップに沿って進めれば誰でも簡単に行えます。
それでは、各ステップを詳しく見ていきましょう。
ステップ① 常用労働者数を計算する
最初のステップは、計算の分母となる「常用労働者数」を算出することです。
常用労働者とは、正社員やパート・アルバイトといった雇用形態に関わらず、継続して雇用される労働者を指します。
常用労働者の定義とカウント方法
常用労働者とは、1年を超えて雇用される、またはその見込みがある労働者のことです。
週の所定労働時間が30時間以上の労働者は「1人」としてカウントします。これには、正社員だけでなく、契約社員や嘱託社員なども含まれます。
短時間労働者のカウント方法
一方で、週の所定労働時間が20時間以上30時間未満の労働者は「短時間労働者」と定義され、「0.5人」としてカウントします。
例えば、短時間労働者が10人在籍している場合、常用労働者数としては「5人」と計算されます。なお、週の所定労働時間が20時間未満の労働者は、障害者雇用率の計算対象には含まれません。
ステップ② 雇用障害者数を計算する
次のステップでは、計算の分子となる「雇用障害者数」を算出します。
こちらは単純な人数ではなく、障害の種別や程度、労働時間によってカウント方法が大きく変わるため、正確に把握することが重要です。特例措置も設けられているため、対象となる従業員がいないか確認しましょう。
障がい者種別ごとのカウント方法
雇用している障害のある従業員を、障害の種別や労働時間に応じてカウントします。
- 週の所定労働時間が30時間以上の障がい者は「1人」
- 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満の短時間労働者である障がい者は「0.5人」
これは、身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者のいずれの場合も基本は同じです。
重度障がい者のダブルカウント制度
重度の身体障がい者または重度の知的障がい者を雇用する場合、雇用促進の観点から「ダブルカウント制度」が適用されます。これにより、1人の雇用が2人分として計算されるため、企業にとっては大きなメリットとなります。
- 週30時間以上勤務する重度身体障がい者・重度知的障がい者は「2人」
- 週20時間以上30時間未満勤務の場合は「1人」
なお、精神障がい者には重度の区分がないため、この制度の対象外です。
精神障がい者である短時間労働者の特例
精神障がい者の職場定着を支援するため、精神障がい者である短時間労働者(週20時間以上30時間未満)については特例措置が設けられています。
通常は「0.5人」とカウントされるところ、当分の間、一定の要件を満たす場合は「1人」としてカウントすることが可能です。
この特例は、2023年4月1日以降に新規で雇い入れられた方や、精神障がい者保健福祉手帳を新たに取得した方が対象となります。詳細は管轄のハローワークにご確認ください。
ステップ③ 計算式に当てはめて実雇用率を算出!
最後のステップとして、ステップ①と②で算出した「常用労働者数」と「雇用障害者数」を計算式に当てはめ、自社の実雇用率を算出します。計算式は以下の通りです。
実雇用率(%) = (雇用障害者数) ÷ (常用労働者数) × 100
例えば、
- 常用労働者数が95人(週30時間以上90人、週20時間以上30時間未満10人)
- 雇用障害者数が2.5人(週30時間以上の重度身体障がい者1名、週20時間以上30時間未満の精神障がい者1名で特例なし)
この場合、計算は次のようになります。
常用労働者数:90人 + (10人 × 0.5) = 95人
雇用障害者数:2人(重度身体障がい者) + 0.5人(精神障がい者) = 2.5人
実雇用率:2.5人 ÷ 95人 × 100 ≒ 2.63%
このように、各ステップで算出した数値を当てはめることで、自社の正確な実雇用率を把握することができます。
【一目でわかる!】従業員数ごとの雇用義務人数がわかる早見表
障害者雇用義務のある企業が、具体的に何人の障がい者を雇用する必要があるのか、常用労働者数ごとに一覧で確認できる早見表を作成しました。自社の従業員数と照らし合わせ、雇用人数の目安としてご活用ください。
この早見表は、令和6年4月1日以降の民間企業の法定雇用率「2.5%」を基に計算しており、計算結果の1人未満の端数は切り捨てています。
常用労働者数50人から500人までの早見表
法定雇用率の対象となる常用労働者数が40.0人以上の企業は、1人以上の障がい者を雇用する義務があります。
ここでは、特に該当する企業が多い50人から500人までの規模について、50人刻みで必要な雇用人数を示します。
| 常用労働者数 | 雇用義務のある障がい者数(人) |
| 50人 | 1人 |
| 100人 | 2人 |
| 150人 | 3人 |
| 200人 | 5人 |
| 250人 | 6人 |
| 300人 | 7人 |
| 350人 | 8人 |
| 400人 | 10人 |
| 450人 | 11人 |
| 500人 | 12人 |
早見表を見るときの注意点
早見表はあくまで目安です。正確な雇用義務人数を把握するためには、以下の点にご注意ください。
まず、この表はキリの良い数字で計算したものです。実際の雇用義務人数は、自社の正確な「常用労働者数」を用いて計算する必要があります。常用労働者数の詳しい計算方法は、前の章「【簡単】障害者雇用率の計算方法3ステップ!」で解説していますので、そちらを参考に算出してください。
最後に、法定雇用率は社会情勢の変化に応じて定期的に見直されます。この早見表は令和6年4月1日施行の法定雇用率に基づいています。常に最新の情報を厚生労働省の発表などで確認するようにしましょう。
障害者雇用率の計算で間違いやすい3つの注意点
障害者雇用率の計算は、一見するとシンプルですが、いくつかの落とし穴があります。計算を間違うと、法定雇用率を達成しているつもりが未達成だったという事態になりかねません。
ここでは、人事担当者が特に間違いやすい3つの注意点を詳しく解説します。
① 労働者数の算定基礎日を間違えない
障害者雇用率を計算する際の「常用労働者数」や「雇用障害者数」は、いつの時点の人数でカウントすればよいのでしょうか。
正解は、原則として「毎年6月1日現在」の状況で算定します。
企業の事業年度末(例:3月31日)や決算日など、自社の区切りの良いタイミングで計算してしまうケースが見られますが、これは誤りです。障害者雇用状況の報告は毎年6月1日時点の状況をハローワークに提出するため、この算定基礎日を絶対に間違えないようにしましょう。
② 除外率制度は廃止されている
過去には、障害のある方が就業することが困難であると認められる特定の業種において、労働者数から一定の割合を控除して雇用率を計算できる「除外率制度」が存在しました。
しかし、この除外率制度は段階的に縮小・廃止され、2004年(平成16年)4月1日をもって完全に廃止されています。
現在では、いかなる業種であっても除外率は適用されません。すべての常用労働者を算定の基礎に含めて計算する必要があるため、古い情報のまま計算しないよう注意が必要です。
③ 対象となる障害者手帳を確認する
障害者雇用率の計算対象となる障がい者は、原則として以下のいずれかの手帳を所持している必要があります。
- 身体障がい者手帳
- 療育手帳(または同等の判定書)
- 精神障がい者保健福祉手帳
医師の診断書があるだけでは、雇用障害者としてカウントすることはできません。必ず対象となる手帳の交付を受けているか、本人に確認し、プライバシーに配慮した上でコピーなどを提出してもらいましょう。
また、手帳には有効期限が設けられている場合があるため、算定基礎日時点で有効期間内であることもしっかりと確認することが重要です。
法定雇用率が未達成だった場合のペナルティとは?
障がい者の法定雇用率は、企業が遵守すべき法律上の義務です。もし法定雇用率を達成できなかった場合、単に目標未達というだけでなく、法律に基づいたペナルティが課せられます。
ここでは、具体的なペナルティの内容について解説します。
障害者雇用納付金制度について
常用労働者数が100人を超える企業で法定雇用率が未達成の場合、「障害者雇用納付金」を国に納付する義務が生じます。これは、障がい者を雇用している企業とそうでない企業との間の経済的負担を調整するための制度です。
納付金の額は、法定雇用障害者数に不足する人数1人あたり月額50,000円です。例えば、2人不足している場合は、月額100,000円を納付しなければなりません。
この納付金は、法定雇用率を超えて障がい者を雇用している企業に支給される「障害者雇用調整金」などの財源として活用されます。
行政指導や企業名の公表
障害者雇用納付金を支払えば、雇用義務が免除されるわけではありません。法定雇用率が著しく低い企業に対しては、ハローワークから行政指導が入ります。
まず、障害者雇用計画の作成を命じられ、その計画に沿った雇用を進めるよう指導を受けます。計画通りに改善が進まない場合は「特別指導」の対象となり、最終的に改善が見られないと判断されると、企業名が厚生労働省のホームページなどで公表されます。
企業名が公表されると、企業の社会的信用やイメージが大きく損なわれる可能性があるため、計画的な雇用促進が不可欠です。
採用・定着に悩む企業へ!農業型障害者雇用支援という選択肢
障害者雇用を進めたいものの「採用方法がわからない」「定着しない」と悩む企業は少なくありません。そんな課題に対し、農業での雇用を実現できるのがファーマーズマーケットです。
初期費用ゼロで導入でき、採用から定着までを一貫してサポートしています。16年の実績に基づく支援体制と95%と高い定着率により、無理なく法定雇用率の達成を目指せます。
障害者雇用の進め方に迷ったときにはぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
本記事では、障害者雇用率の計算方法を3つのステップで解説しました。
常用労働者と雇用障害者数を正しく算定し、自社の実雇用率を正確に把握することが第一歩です。特に、重度障がい者のダブルカウントや精神障がい者の特例など、間違いやすい注意点を押さえることが重要です。
令和6年度から法定雇用率は段階的に引き上げられるため、企業の雇用義務はより一層重くなります。障害者雇用納付金などのペナルティを回避するだけでなく、多様な人材が活躍できる職場を整備するためにも、本記事の早見表などを参考に早期の対策を進めましょう。



