障害がある方のなかには、「自分にはどんな仕事が向いているんだろう」「未経験でもできる仕事はある?」と、仕事選びに迷っている方もいるのではないでしょうか?
この記事では、精神障害・身体障害・発達障害・知的障害それぞれの特性を踏まえ、未経験からでも検討しやすい仕事を紹介します。さらに、オープン就労とクローズ就労の違いや合理的配慮、仕事探しで利用できる支援サービスについても解説します。
自分の得意なことや希望する働き方を整理しながら、無理なく続けられる仕事を探してみましょう。
障害のある方が向いている仕事を探す前の大切な考え方
同じ障害があっても得意なことや苦手なこと、働きやすい環境は人それぞれです。まずは自分自身の特徴や希望する働き方を知ることから始めてみましょう。
障害の種類だけで向いている仕事を決めないことが大切
「精神障害なら事務職」「身体障害なら在宅勤務」のように、障害の種類だけで向いている仕事を決める必要はありません。同じ障害がある方でも、得意なことや苦手なこと、体調の変化、必要な配慮などは異なります。
また、同じ仕事内容でも、勤務時間や通勤方法、職場の雰囲気などによって働きやすさは変わります。障害の特性だけにとらわれず、これまで経験してきたことや興味のあること、無理なく続けられる働き方なども含めて仕事を探してみましょう。
自分に合う仕事を長く続けるために、どのような職場や働き方を選べばよいか知りたい方は、障害のある方が長く続けやすい仕事や職場選びのポイントも参考にしてください。
得意なことや苦手なことから職種を考える
向いている仕事が分からないときは、「何が得意か」だけでなく、「どんな作業なら続けやすいか」という視点で考えてみるのがおすすめです。
たとえば、決められた手順に沿ってコツコツ進めることが得意なら、検品やデータ入力などが候補になります。人と話すことが好きなら、接客などコミュニケーションを活かせる仕事も選択肢になるでしょう。
反対に、負担を感じやすいことを知っておくのも大切です。「長時間立ち続けるのはつらい」「複数の作業を同時に進めるのは苦手」「大きな音が続く場所では集中しにくい」など、自分が困りやすい場面も整理してみましょう。
得意なことと苦手なことの両方が分かれば、自分に合う求人を見つけやすくなります。勤務時間の調整や仕事の指示方法など、どのような配慮があれば働きやすいのかも一緒に考えておくと安心です。
障害のある方が仕事を選ぶときの確認ポイント
気になる仕事が見つかっても、仕事内容だけで決めるのではなく、働き方や職場環境、受けられる配慮なども確認しながら、自分が無理なく働ける職場か考えることが大切です。
オープン就労とクローズ就労を比較する
障害があることを勤務先に伝えて働くことを「オープン就労」、伝えずに働くことを「クローズ就労」と呼びます。
オープン就労では、障害者雇用枠に応募できるほか、勤務時間や業務量、休憩の取り方など、働くうえで必要な配慮について相談しやすいのが特徴です。
一方、クローズ就労では一般の求人も含めて仕事を探せるため、選択肢が広がる場合があります。ただし、障害について職場に伝えていないため、困ったことがあっても必要な配慮を相談しにくいことがあります。
どちらがよいかは、人によって異なります。体調や必要なサポート、希望する仕事内容などを考えながら、自分に合った働き方を選びましょう。
業務内容と職場環境を確認する
求人票に「事務」「軽作業」などと書かれていても、実際の仕事内容は会社によって大きく異なります。職種名だけを見るのではなく、具体的にどのような作業を担当するのかまで確認しておきましょう。
たとえば、事務職なら電話対応や来客対応があるのか、軽作業なら立ち仕事や重い物を運ぶ作業があるのかなど、自分が実際に働く場面をイメージしながら確認することがポイントです。
仕事内容だけでなく、勤務時間や残業、通勤方法、休憩の取りやすさなどもチェックしておきましょう。音や照明、人とのコミュニケーションの多さなどが気になる場合は、職場見学で実際の環境を確認してみるのもおすすめです。
仕事内容だけでなく、勤務時間や職場環境も含めて働きやすい仕事を探したい方は、障害のある方が働きやすい仕事と選び方のポイントも参考にしてみてください。
必要な配慮やサポートを受けられるか確認
仕事を長く続けるためには、自分に必要な配慮について、企業と相談できるかどうかも大切です。
たとえば、「口頭だけでなく文章でも仕事の指示がほしい」「通院日は勤務時間を調整したい」「定期的に休憩を取りたい」など、必要な配慮は一人ひとり異なります。自分がどのような場面で困りやすく、どんなサポートがあれば働きやすいのかを整理しておきましょう。
また、入社後の相談先や教育体制について確認しておくと、働き始めてから困ったときにも相談しやすくなります。すべての希望が必ず受け入れられるとは限らないため、面接や職場見学などを通して、自分が必要とする配慮と企業が対応できることを確認しておくことが大切です。
未経験でもOK!特性別に障害のある方に向いている仕事まとめ
障害のある方に向いている仕事は、障害の種類だけで決まるものではありません。集中しやすい環境、得意な作業、体力、コミュニケーションの負担などを考慮し、自分の特性に合う仕事を選ぶことが大切です。
精神障害のある方に向いている仕事
精神障害のある方は、勤務時間や業務量が安定しており、周囲に相談しやすい仕事が向いている場合があります。体調の波や疲れやすさに配慮し、休憩を取りやすい職場を選ぶことも重要です。
清掃や軽作業など自分のペースで進めやすい仕事
清掃、商品の袋詰め、シール貼りなどの軽作業は、担当する作業が明確で、一人で集中して取り組みやすい仕事です。未経験から始められる求人もあります。作業のスピードや立ち仕事の有無、休憩の取りやすさを確認しましょう。
人とのやり取りが少なく、一人で集中して取り組める仕事を探している方は、障害のある方が一人で取り組みやすい仕事を紹介した記事も参考にしてください。
データ入力や書類整理などの事務職
データ入力や書類整理は、決められた手順に沿って進める業務が多く、細かい作業が得意な方に向いています。パソコンの基本操作が必要な場合があるため、入力作業やメールの使い方を身につけておくと応募しやすくなります。静かな環境や業務量の調整が可能かも確認しましょう。
自然の中で取り組める農作業
農作業は、野菜の収穫、除草、選別など、体を動かしながら取り組める仕事です。屋外での作業や繰り返し作業が中心になることがあり、デスクワークに負担を感じる方に適する場合があります。天候の影響、作業時間、体力面の負担について事前に確認しましょう。
デスクワークよりも体を動かす働き方に興味がある方は、障害のある方に向いている体を動かす仕事を紹介した記事も参考にしてみてください。
身体障害のある方に向いている仕事
身体障害のある方は、身体状況に合った設備や通勤環境が整っている仕事を選ぶことが大切です。座位でできるか、移動や休憩に無理がないか、車いす対応の設備があるかなどを確認しましょう。
コールセンターなど座って取り組みやすい仕事
コールセンターやカスタマーサポートは、座って電話対応や問い合わせ対応を行う仕事です。会話の手順やマニュアルが用意されている職場もあります。電話対応の量、パソコン操作の範囲、勤務場所のバリアフリー対応を確認することが大切です。
動画編集やライターなどの在宅ワーク
動画編集やライターは、パソコンを使って自宅で進められる求人があります。通勤の負担を減らしたい方や、作業環境を自分で整えたい方に向いている場合があります。基本的なパソコン操作に加え、納期を守る自己管理やオンラインでの報告が求められます。
事務補助とデータ入力
事務補助やデータ入力は、書類の作成、ファイル整理、数値入力などを担当する仕事です。業務内容が比較的明確で、経験を積みながら事務スキルを身につけやすい点が特徴です。通勤経路、机の高さ、休憩場所、勤務時間の調整について確認しましょう。
発達障害のある方に向いている仕事
発達障害のある方は、業務手順や優先順位が明確で、集中しやすい環境の仕事が向いている場合があります。口頭指示だけでなく、マニュアルやチェックリストで確認できる職場を選ぶと、作業に取り組みやすくなります。
製造や検品など手順が決まっている仕事
製造や検品は、決められた手順に沿って部品を組み立てたり、商品に不備がないか確認したりする仕事です。同じ作業を正確に繰り返すことが得意な方に向いています。作業手順、音やにおいの刺激、立ち仕事の時間、質問しやすい体制を確認しましょう。
決められた手順に沿って繰り返す仕事が得意な方は、障害のある方に向いているルーティンワークや適性について解説した記事も参考にしてください。
倉庫での仕分け・ピッキング
仕分けやピッキングは、注文内容を確認して商品を集めたり、種類ごとに分けたりする仕事です。作業の流れが決まっていることが多く、体を動かすことが得意な方に適しています。商品の重さ、歩く距離、作業スピード、倉庫内の温度環境を確認することが必要です。
農作業や園芸などの仕事
農作業や園芸は、植物の手入れ、収穫、植え替え、道具の片付けなどを行う仕事です。作業内容が具体的で、成果を実感しやすい点が特徴です。屋外作業の時間、季節による業務の変化、暑さや寒さへの対策、作業指示の方法を確認しましょう。
知的障害のある方に向いている仕事
知的障害のある方は、業務内容が分かりやすく、作業手順を繰り返し確認できる仕事が向いている場合があります。写真や図を使ったマニュアル、実際の作業を見ながら覚えられる研修がある職場も選択肢になります。
検品・梱包
検品や梱包は、商品の状態を確認し、決められた方法で箱詰めする仕事です。作業の流れが一定で、担当業務が明確な求人があります。確認項目、作業の速さ、商品の重さ、困ったときの相談先をあらかじめ確認しましょう。
物流や品出しの仕事
物流や品出しは、商品を運んだり、決められた場所に並べたりする仕事です。スーパーや倉庫などで求人があり、未経験者を対象とした募集も見られます。商品の重量、台車の使用、勤務時間、接客の有無などが自分に合っているか確認することが大切です。
自然の中で取り組める農業
農業では、種まき、収穫、選別、袋詰めなどの作業を担当します。作業を一つずつ覚えながら進められる職場であれば、未経験から始めやすい場合があります。作業手順を分かりやすく説明してもらえるか、天候による変更があるか、体力面で無理がないかを確認しましょう。
障害のある方の就職を支援するサービスは何がある?
就職をサポートしてくれるサービスを利用する方法があります。
求人の紹介だけでなく、仕事をするための訓練や応募書類の作成、面接対策、就職後の相談まで対応しているサービスもあります。それぞれ支援内容が異なるため、自分の状況や希望に合ったものを選びましょう。
農業をするなら!「ファーマーズマーケット」が安心
「体を動かす仕事がしたい」「農業に興味はあるけれど、未経験だから不安」という方は、障害者雇用支援「ファーマーズマーケット」を利用する方法があります。
ファーマーズマーケットでは、種まきから収穫、出荷準備、加工補助など、農業に関わるさまざまな仕事があります。就職前には農場を見学できるほか、約2週間の実習を通して実際の作業を経験できるため、自分に合う仕事か確かめてから就職を検討できます。
農業経験がなくても、実際に仕事を体験してから判断できるのがうれしいポイントです。「自分にもできるかな」と不安な方も、まずは見学から仕事の雰囲気を確かめてみるとよいでしょう。
ハローワークの専門窓口
ハローワークには、障害のある方の仕事探しをサポートする専門窓口があります。障害者雇用の求人を紹介してもらえるほか、応募書類や面接について相談することもできます。
「どんな仕事を選べばいいか分からない」という段階から相談できるのもポイントです。希望する仕事内容や勤務時間、働くうえで必要な配慮などを伝えながら、自分に合った求人を探してみましょう。
就労移行支援
「すぐに就職するのは少し不安」「働くための準備から始めたい」という方は、就労移行支援を利用する方法があります。
就労移行支援では、一般企業への就職を目指して、仕事に必要なスキルやビジネスマナーを身につけるための訓練を受けられます。履歴書の作成や面接対策、企業での実習など、実際の就職活動もサポートしてもらえます。
事業所によって訓練内容や得意とする分野が異なるため、見学などを利用して自分に合うところを探してみましょう。
就労継続支援A型とB型
「一般企業で働くことにはまだ不安がある」という場合は、就労継続支援A型・B型も選択肢になります。
A型は事業所と雇用契約を結び、サポートを受けながら働くサービスです。実際に働きながら、仕事に必要なスキルや経験を身につけていけます。
B型は雇用契約を結ばず、自分の体調などに合わせながら作業に取り組みます。「まずは決まった時間に通うことから始めたい」「少しずつ仕事に慣れたい」という方にも利用されています。
A型・B型ともに事業所によって仕事内容や環境が異なるため、利用を考えている場合は見学や体験をして、自分に合うか確認してみましょう。
地域障害者職業センター
「自分にどんな仕事が向いているのか知りたい」「働くうえでの得意・不得意を整理したい」という場合は、地域障害者職業センターに相談できます。
職業相談や職業評価、就職に向けた準備などの支援を受けられ、自分の特徴を整理しながら働き方を考えることができます。
必要に応じてハローワークや就労支援機関などとも連携してもらえるため、就職活動をどのように進めればいいか迷っている方にも利用しやすい相談先です。
障害者向け転職エージェント
ある程度希望する仕事や条件が決まっている場合は、障害者向け転職エージェントを利用する方法もあります。
希望する職種や勤務地、勤務時間などを伝えることで、条件に合った求人を紹介してもらえます。応募書類の添削や面接対策に対応しているサービスもあり、転職活動を効率よく進めたい方にも便利です。
企業との間に担当者が入ってくれるため、勤務時間や仕事内容、必要な配慮について自分だけでは確認しにくい場合にも相談できます。サービスによって扱っている求人やサポート内容が異なるため、自分が希望する働き方に対応しているか確認して利用しましょう。
まとめ
障害のある方に向いている仕事は、障害の種類だけで決まるものではありません。得意なことや苦手なこと、体調、働き方の希望を整理し、業務内容や職場環境、必要な配慮を確認することが大切です。
清掃、軽作業、事務、製造、農業など、未経験から始めやすい仕事もあります。ハローワーク、就労移行支援、就労継続支援、地域障害者職業センターなどに相談し、自分に合う仕事と職場を無理なく探しましょう。



