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障害者雇用の給与の決め方を解説!相場や賃金設定で企業が確認すべきポイント

障害者雇用を進めるなかで、「給与はどのように決めればいいの?」「一般雇用と同じ基準で考えて問題ない?」と、賃金設定に悩む企業担当者の方も多いのではないでしょうか?

この記事では、障害者雇用の平均賃金や職種・地域別の相場、求人情報を活用した給与水準の確認方法を紹介します。さらに、最低賃金や均衡待遇、最低賃金の減額特例、助成金・障害者雇用納付金制度など、企業が押さえておきたいポイントも解説します。

適正な給与設定の流れを理解し、企業と働く本人の双方が納得できる賃金設計につなげましょう。

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目次

障害者雇用の給与を決める前に知っておきたい基本!

結論から言うと、障害者雇用であっても給与決定の原則は一般雇用と全く同じです。障害の有無ではなく、担当する業務内容や責任の重さ、勤務時間、スキルなどに基づいて決定します。

ここでは、給与を設定する際に知っておくべき基本的なルールと、トラブルを防ぐためのポイントを解説します。

障害者雇用でも給与の決め方は原則として一般雇用と同じ

障害者雇用であっても、給与は障害の有無だけで一律に決めるものではありません。担当する業務内容、責任の重さ、スキルや経験、勤務時間などを総合的に見て設定するのが原則です。

社内に正社員やパートなどの賃金テーブルがあれば同じ基準を適用し、「障害があること」だけを理由に給与を低くすることは認められていません。

ただし、障害特性への配慮として勤務時間を短くしたり業務内容を調整したりする場合は、実際の労働時間や職務に応じた設定を行います。その際は、配慮の内容と給与額について本人へ丁寧に説明し、納得感を持ってもらうことが大切です。

あわせて、原則として最低賃金法が適用される点も押さえておきましょう。勤務地の地域別最低賃金を下回ることはできず、基本給や対象となる手当を中心に正しく計算する必要があります(残業代や通勤手当などは除外して比較します)。例外として減額特例もありますが、労働局長の許可が必須となるため基本は最低賃金の遵守が大前提です。

障害の有無だけを理由に給与を差別してはいけない

同じような職務を担当しているにもかかわらず、障害があることだけを理由に給与を下げたり、昇給や賞与の対象から外したりすることは法律で禁止されています。賃金差を設ける場合は、職務内容や成果、勤務時間など、誰が見ても納得できる客観的で合理的な理由が不可欠です。

また、企業側に義務付けられている「合理的配慮」の提供にかかったコストを理由に、本人の給与を一方的に減額することも同じく禁止されています。給与などの労働条件を変更する際は、必ず本人としっかり話し合い、雇用契約や就業規則に沿って正しい手続きを進めなければなりません。

採用後のトラブルを未然に防ぐためにも、基本給、手当、賞与、昇給ルール、評価基準などは、求人票や雇用契約書、就業規則に明確に記載し、採用前の段階から分かりやすく説明しておくことが極めて重要です。

障害者雇用の給与相場はどのくらい?

障害者雇用の給与相場は、障害の種類だけでなく、職種や雇用形態、勤務時間、業務内容、経験、勤務地などによって異なります。そのため、平均賃金だけを基準に給与を決めるのではなく、同じような条件の求人や、自社で同等の業務を担当する従業員の賃金水準と照らし合わせて検討することが大切です。

ここでは、厚生労働省が公表している「令和5年度障害者雇用実態調査」をもとに、障害者雇用の平均賃金や勤務時間による違いを紹介します。

障害者雇用の平均賃金

厚生労働省の「令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書」によると、障害者の平均賃金月額は次のとおりです。

障害の種類 平均賃金月額
身体障害者 23万5,000円
知的障害者 13万7,000円
精神障害者 14万9,000円
発達障害者 13万円

出典:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書」

https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001233719.pdf 

ただし、この金額をそのまま「障害者雇用の月給相場」と捉えるのは適切ではありません。調査には勤務時間や賃金形態などが異なる労働者が含まれており、障害種別によって働き方の構成も異なるためです。

実際に厚生労働省の調査を週所定労働時間別に見ると、知的障害者では週30時間以上の場合の平均賃金が15万7,000円、週20時間以上30時間未満では11万1,000円、週10時間以上20時間未満では7万9,000円となっています。発達障害者でも、週30時間以上では15万5,000円、週20時間以上30時間未満では10万7,000円、週10時間以上20時間未満では6万6,000円です。

このように、月額の平均賃金には労働時間の違いも影響します。企業が給与を設定するときは、障害種別ごとの平均額だけを見るのではなく、勤務時間や仕事内容、責任の範囲など条件の近いデータと比較することが重要です。

出典:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書」
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001233721.pdf

ハローワークや求人サイトの掲載情報

自社が採用を予定している地域や職種の給与相場を確認するには、ハローワークインターネットサービスの障害者求人を活用できます。

ハローワークでは「障害のある方のための求人」に絞り、フルタイム・パートなどの条件を指定して求人情報を検索できます。勤務地、職種、雇用形態などを自社の採用条件に近づけ、複数の求人を比較すると、地域における募集時の賃金水準を把握しやすくなります。

ハローワークインターネットサービス
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/

ただし、求人票に記載された金額だけで判断するのは避けましょう。基本給のほかに固定手当が含まれていたり、賞与や時間外手当が別途支給されたりする求人もあります。

自社の給与と比較する場合は、「同じ地域・同じ職種・同程度の勤務時間・近い業務内容」といった条件をそろえることがポイントです。複数の求人を確認し、最低額・最高額だけでなく、どの程度の金額帯で募集されているのかを見ると、より実態に近い相場を把握できます。

地域別の最低賃金と求人賃金の確認方法

最低賃金は都道府県によって異なるため、給与を決める際には、勤務地に適用される最新の金額を必ず確認しましょう。2026年度(令和8年度)は、地域別最低賃金の改定額が答申されており、答申ベースの全国加重平均は時給1,177円です。改定額は都道府県ごとに発効日が異なり、2026年10月1日から12月2日にかけて順次発効する予定となっています。

最新の都道府県別最低賃金は、厚生労働省の「地域別最低賃金の全国一覧」で確認できます。

時給制の場合は、設定した時給と最低賃金を直接比較できます。一方、月給制の場合は「最低賃金の対象となる月給÷1か月平均所定労働時間」で時間額に換算し、適用される最低賃金以上になっているか確認します。

なお、最低賃金との比較では、すべての手当を賃金に含められるわけではありません。賞与や時間外・休日・深夜の割増賃金のほか、精皆勤手当、通勤手当、家族手当などは最低賃金の計算から除外されます。

出典:厚生労働省「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/chingin/newpage_43899.html

最低賃金は、あくまで企業が支払わなければならない賃金の下限です。実際の給与を設定するときは最低賃金を満たすだけでなく、同じ地域・職種の求人水準や業務の難易度、必要なスキル、経験、勤務時間、自社の既存社員とのバランスなどを踏まえて検討しましょう。

障害者雇用で適正な賃金を設定するまでの流れ

採用した後のミスマッチを防ぐためにも、求人を出す前の段階でしっかり条件を整理しておきましょう。ここでは、適正な給与を決めるための手順を4つのステップでご紹介します。 

Step①  正社員・契約社員・パートなど「雇用形態」を決める 

まずは、正社員、契約社員、パートタイム労働者など、どの雇用形態で募集するかを決めます。

雇用形態によって勤務時間や契約期間、賞与・昇給の有無、福利厚生などの条件が変わってくるため、給与単体だけでなく労働条件全体をセットで整理することが大切です。

契約社員やパートとして募集する場合は、契約期間や更新の基準、正社員登用制度の有無についてもあらかじめ明確にしておきます。もし正社員と同じ業務や責任を担当してもらう場合は、雇用形態が違うことだけを理由に不合理な待遇差(給与差)がつかないよう注意しましょう。

Step② 担当する「業務内容と責任の範囲」を具体的に洗い出す 

次に、実際に任せる業務内容を細かくリストアップしていきます。

作業手順や扱うツール、顧客対応の有無、自分で判断すべき範囲などを整理し、「どのくらいの難易度や責任を伴う仕事なのか」をクリアにしましょう。

業務を工程ごとに分解してみると、必要な作業量や難易度が把握しやすくなります。社内に同じような業務や責任を担っているポジションがあれば、その賃金水準と照らし合わせながら、職務に見合った給与額を検討していきます。

Step③ 必要な「スキル・資格・経験」を整理する 

業務をこなす上で欠かせない知識や技能、資格、過去の実務経験などを整理します。

例えば「パソコンの基本操作」「電話対応」「専門資格の有無」など、応募の時点で必須とする条件と、入社後にトレーニングして身につけてもらうスキルを分けて考えておくのがコツです。

スキルや経験に応じた基本給や手当を設定する場合は、あらかじめ明確な評価基準を作っておくと、公平で納得感のある給与設定ができます。障害の特性に合わせて通常とは異なる手順やサポートが入る場合でも、本人の成果や頑張りを正しく評価できる仕組みを整えておきましょう。

Step④ 「勤務時間や勤務日数」などの労働条件を決定する 

最後に、所定労働時間、勤務日数、始業・終業時刻、休憩時間、残業の有無といった具体的な働き方を決定します。

通院や体調配慮のために短時間勤務を取り入れる場合は、月額の総額だけで考えるのではなく、時給換算や勤務時間の割合をベースにして給与を算出するのがスムーズです。

在宅勤務や時差出勤などを認める場合も、業務量や評価方法とのバランスが取れているかを確認しておきましょう。決まった給与額や各種手当、賞与、勤務時間、休日などの条件は、雇用契約書や労働条件通知書にしっかりと明記し、本人としっかり認識を合わせておきます。

障害者雇用の給与設定で注意したい法律と制度

給与を決める際は、社内の基準だけでなく労働に関する法律や公的な制度のルールを守ることが大切です。

「知らなかった」では済まされない重要な3つの法律・制度について、企業側が気をつけるべきポイントを解説します。

パートタイム有期雇用労働法の均衡待遇

パートや契約社員として障害のある方を雇う場合、「パートタイム・有期雇用労働法」に基づく待遇のルールに配慮する必要があります。

正社員と非正規雇用(パート・契約社員)の待遇差は、担当する業務内容や責任の重さ、異動や役割変更の範囲などに基づいて決めなければなりません。単に「パートだから」「契約社員だから」という理由だけで、基本給や賞与、各種手当に不合理な差をつけることは法律上NGです。

もちろん、業務の難易度や責任、勤務時間に明確な違いがあれば、それに応じた給与の差がつくこと自体は問題ありません。大切なのは「障害の有無」ではなく、あくまで「役割や働き方の違い」を基準にして整理することです。

なお、非正規雇用のスタッフから「正社員との給与の差」について理由を求められた場合、企業にはそれを説明する義務があります。後から困らないよう、就業規則や契約書に決定基準をはっきり記載しておきましょう。

最低賃金の減額特例が認められるケース

障害者雇用であっても、原則として各都道府県の「最低賃金」がそのまま適用されます。企業が勝手に最低賃金を下回る給与額を設定することはできません。

ただし、病気や障害の影響によって著しく作業能力が低いと認められる場合に限り、例外的に「最低賃金の減額特例」という制度が用意されています。

注意したいのは、「障害がある=自動的に安くできる」制度ではないという点です。適用を受けるには、本人の作業能力や勤務状態を細かく評価した上で、管轄の都道府県労働局長へ申請し、正式な許可を得る必要があります。許可がないまま最低賃金未満の給与を支払うと「最低賃金法違反」となってしまいます。

減額特例を検討する前提として、まずは業務の工夫や合理的配慮を行ってもなお能力差が生じるかを慎重に見極める必要があります。手続きのハードルも高いため、検討する際は必ず労働局や労働基準監督署へ事前に相談してください。

障害者雇用納付金制度と助成金の考え方

障害者を雇う企業をサポートする仕組みとして「納付金制度」や各種「助成金」がありますが、これらは「給料を低く抑えるための補填金」ではありません。

一定規模以上の企業で法定雇用率に届かない場合に納付金が発生したり、逆に達成している企業へ調整金・報奨金が支給されたりします。また、「特定求職者雇用開発助成金(特雇金)」など採用や定着を助ける各種助成金も用意されています。

しかし、これらの助成金が入るからといって「その分、本人の基本給を下げてもいい」ということには絶対になりません。給与はあくまで担当業務や役割に対して適正に支払われるべきものです。

助成金を活用する際は、雇用契約書、賃金台帳、出勤簿などの書類を正しく管理・整備しておく必要があります。「助成金の受給」と「給与額の設定」は全く別の問題として切り離して考えましょう。

まとめ

障害者雇用の給与は、障害の有無ではなく、職務内容、責任の範囲、必要なスキル・経験、雇用形態、勤務時間などを基準に、一般雇用と同じ考え方で決めます。最低賃金も原則として適用されるため、地域別最低賃金を下回らない確認が必要です。求人相場や社内の同等職種との均衡も確認し、障害があることだけを理由に賃金を下げてはいけません。減額特例や助成金を利用する場合も、要件と手続きを確認し、適正な待遇を継続的に見直しましょう。

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