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障がい者の農業雇用を成功させる企業の取り組みとは?助成金から農福連携の事例まで

障害者 農業 雇用 取り組み

「障がい者雇用が難しく、 法定雇用率がクリアできない」といった課題で困っていませんか?その解決策として、今「農福連携」による障がい者の農業雇用が注目されています。

本記事では、農福連携の基本から、企業の具体的な取り組み事例、導入を成功させるための5ステップ、活用できる助成金制度まで解説します。

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目次

この記事を読むと分かること

 

  • 企業はどのように障がい者の農業雇用を始めればいい? 
  • 農福連携とはどんな取り組み? 
  • 活用できる助成金にはどんなものがある? 

今なぜ障がい者の農業雇用が注目されるのか?

近年、障がい者の新たな働き方として、農業分野での雇用が大きな注目を集めています。

ではなぜ今注目されるのか、この章でまずは基本を解説していきます。

障がい者の農業雇用が企業と社会にもたらすメリット

企業が障がい者の農業雇用に取り組むことは、法定雇用率の達成だけにとどまらず、さまざまなメリットがあります。

まず、CSR(企業の社会的責任)の観点から、企業のブランドイメージ向上につながる点が挙げられます。障害者雇用を通じた社会貢献は、投資家や消費者からの評価を高めるきっかけにもなります。

また、障害のある社員と共に働くことで、職場に多様性が生まれます。その結果、社員一人ひとりの理解が深まり、組織全体の活性化にもつながっていきます。

さらに、障がい者の就労機会を広げることは、経済的な自立や社会参加の後押しにもなるのです。

農業分野の人手不足解消への期待

日本の農業は、従事者の高齢化や後継者不足により、深刻な労働力不足という課題に直面しています。この課題を解決する新たな担い手として、障害のある方々への期待が高まっています。

農業には、種まきや水やり、収穫、洗浄、袋詰め、ラベル貼りといった多種多様な作業工程が存在します。これらの作業を個々の能力や特性に合わせて切り出すことで、障害のある方々が活躍できる場面は数多くあります。

彼らの丁寧で実直な仕事ぶりは、作物の品質向上にも貢献すると言われています。このように、障がい者の雇用は、福祉的な側面だけでなく、日本の農業が抱える構造的な問題を解決する有効な一手として注目されているのです。

そもそも「農福連携」とは?障がい者と農業をつなぐ新しいかたち

近年、障害者雇用の一環として注目されているのが「農福連携」です。これは、農業と福祉が連携し、障害のある方々が農業分野で活躍することを目指す取り組みを指します。

言葉は新しいですが、障がい者が生きがいや収入を得る場として、また農業が新たな担い手を得る機会として、双方に大きな可能性を秘めています。

農福連携の基本的な考え方

農福連携は、単に障がい者に農作業を任せることだけを意味しません。その基本的な考え方は、障害のある方々が農業を通じて社会参加を実現し、自身の能力を発揮することで自信や生きがいを得ることを支援する点にあります。

一方で、農業分野は高齢化や後継者不足による労働力不足という深刻な課題を抱えています。

この両者のニーズを結びつけ、障害のある方々を新たな働き手として迎えることで、農業の持続可能性を高め、地域社会の活性化にもつなげるという、まさにWin-Winの関係を築くことを目的としています。

障がい者が農業分野で担う仕事内容の具体例

農業の仕事は多岐にわたり、障害の特性や個人の能力に合わせて様々な業務を切り出すことが可能です。

企業が障害者雇用として農業に取り組む際、どのような仕事内容が考えられるのか、具体的な例をご紹介します。

  • 栽培・管理:種まきや苗の植え付け、水やり、除草作業、肥料の散布など、作物を育てるための基本的な作業です。マニュアル化しやすく、反復作業が得意な方にも適しています。
  • 収穫:野菜や果物、キノコなどの収穫作業です。時期や作物によって作業内容は異なりますが、達成感を得やすい仕事の一つです。
  • 加工・パッキング:収穫した農産物の洗浄、選別、カット、袋詰め、ラベル貼りなどを行います。屋内での作業が中心となるため、天候に左右されずに安定して業務を進められます。
  • 販売・流通:自社農園の直売所での接客やレジ業務、商品の陳列、オンラインストア向けの梱包・発送作業など、お客様と直接関わる仕事もあります。
  • 環境整備:農園内の清掃、農具のメンテナンス、資材の整理整頓など、農園全体の環境を維持するための業務も重要な役割を担います。

これらの業務を組み合わせ、一人ひとりの得意なことやペースに合わせて仕事を設計することで、障害のある方々が無理なく、かつ意欲的に働き続けられる環境を整えることができます。

【事例紹介】障害者農業雇用の企業の取り組み

障がい者の農業雇用は、企業の規模や状況に応じて様々な形で実現されています。

ここでは、企業が実際に行っている3つの異なるタイプの取り組み事例を紹介します。

事例① 大手企業による特例子会社での大規模な取り組み

大手企業の中には、障害者雇用の促進を目的とした「特例子会社」を設立し、農業分野で大規模な事業を展開するケースがあります。代表的な例として、人材サービス大手のパソナグループが運営する株式会社パソナハートフルが挙げられます。

同社では、障害のある社員が主体となり、兵庫県淡路島などの拠点で野菜やハーブの栽培、花の栽培、加工品の製造・販売までを一貫して行っています。業務を細分化し、それぞれの障害特性や能力に合わせた作業環境を整備することで、多くの障がい者がやりがいを持って働ける体制を構築しています。

収穫された農産物はグループ内のカフェで利用されたり、一般向けに販売されたりしており、事業としての継続性も確保しています。このような取り組みは、安定した雇用創出と企業のブランドイメージ向上に大きく貢献しています。

参考:https://www.pasona-heartful.co.jp/activity/yume-farm/

事例② 地域と連携する中小企業の農福連携モデル

中小企業においては、地域社会と密接に連携することで農福連携を成功させている事例が数多く見られます。自社で全ての環境を整えるのではなく、地域の社会福祉法人や就労継続支援事業所、地方自治体などと協力体制を築くのが特徴です。

例えば、ある地方の食品加工会社では、地域の就労支援事業所と契約し、原料となる野菜の栽培の一部を障害のある方々に委託しています。企業側は栽培マニュアルの提供や技術指導を行い、事業所側は利用者のサポートや作業管理を担当します。

この連携により、企業は安定した品質の原料を確保でき、福祉事業所は利用者に新たな就労の機会と工賃を提供できます。地域全体で障がい者を支え、農業の担い手を確保するこのモデルは、持続可能な地域社会の実現にもつながる取り組みとして注目されています。

事例③ 企業参加型の農福連携施設を活用する例

自社で農地や設備を所有することが難しい企業でも、障がい者の農業雇用を実現できるモデルとして「企業参加型の農福連携施設」の活用が広がっています。これは、複数の企業が共同で利用できる農園を専門事業者が運営し、企業は区画をレンタルして障がい者を雇用する仕組みです。

代表的なサービスとして、株式会社エスプールが運営する「わーくはぴねす農園」があります。この施設では、天候に左右されない屋内型の農園や、車椅子でも作業しやすい設備が完備されており、企業は初期投資を抑えて農業分野での障害者雇用を始めることができます。

また、常駐する専門スタッフが採用から定着までをサポートするため、農業や障害者雇用のノウハウがない企業でも安心して導入可能です。都市部の企業が法定雇用率を達成するためのサテライトオフィスとして活用するケースも増えています。

参考:https://plus.spool.co.jp/service/work/

障がい者の農業雇用を始めるための具体的な5ステップ!

障がい者の農業分野での雇用は、多くの企業にとって新たな可能性を秘めています。しかし、何から手をつければ良いのか分からないという声も少なくありません。

ここでは、計画から雇用後の定着まで、障がい者の農業雇用を成功に導くための具体的な5つのステップをわかりやすく解説します。

ステップ① 目的と計画の策定

最初に、なぜ自社が障がい者の農業雇用に取り組むのか、その目的を明確にしましょう。「法定雇用率を達成したい」「社会貢献活動(CSR)の一環として」「新たな事業の柱としたい」など、目的によって計画の方向性が変わります。

目的が定まったら、栽培する作物、農地の確保方法、必要な人員、予算、スケジュールなどを盛り込んだ具体的な事業計画を策定します。この段階で経営層の理解を得て、全社的な協力体制を築くことが成功の鍵となります。

ステップ② 業務の切り出しと環境整備

次に、障害のある方に担当してもらう業務を具体的に洗い出す「業務の切り出し」を行います。農業には、種まき、水やり、除草、収穫、洗浄、選別、袋詰め、ラベル貼りなど、多様な工程が存在します。複雑な作業を細分化し、一つひとつの業務をシンプルにすることで、多くの方が能力を発揮しやすくなります。

同時に、安全に作業できる環境整備も欠かせません。通路の段差をなくしたり、休憩スペースを確保したり、イラストや写真を使った分かりやすい作業マニュアルを用意したりするなど、働く人の特性に合わせた「合理的配慮」を検討しましょう。

ステップ③ 採用活動と受け入れ準備

計画と環境が整ったら、採用活動を開始します。ハローワーク(公共職業安定所)や地域の障がい者就業・生活支援センター、特別支援学校など、専門の支援機関と連携することが効果的です。

これらの機関は、企業の求める人材像に合った方の紹介や、採用に関する専門的な助言を提供してくれます。

面接では、本人がリラックスして話せるよう時間を十分に確保し、必要に応じて支援者の同席を認めるなどの配慮が大切です。また、受け入れ部署の従業員向けに、障害特性やコミュニケーション方法に関する事前研修を実施し、職場全体の理解を深めておくことも円滑な受け入れにつながります。

ステップ④ 支援機関との連携体制構築

障害者雇用は、採用して終わりではありません。従業員が職場にスムーズに適応し、長く働き続けるためには、外部の支援機関との継続的な連携が不可欠です。

特に、就労支援機関から派遣されるジョブコーチは、職場に直接訪問し、従業員本人への業務指導や、企業側への環境調整に関する助言など、専門的なサポートを提供してくれます。

定期的に支援機関の担当者と情報交換の場を設け、日頃の様子や課題を共有することで、問題が大きくなる前に対処できる体制を構築しましょう。

ステップ⑤ 雇用後の定着支援とフォローアップ

雇用後の継続的なサポートは、職場定着率を高める上で最も重要な要素です。上司や担当者による定期的な面談を実施し、仕事の悩みや体調面の不安などを気軽に相談できる関係性を築きましょう。

本人の状況に合わせて業務量や内容を調整したり、通院のための休暇制度を柔軟に運用したりすることも有効です。また、日々の頑張りを正当に評価し、本人の成長や意欲に応じて新たな業務に挑戦する機会を提供するなど、キャリアアップを支援する視点も長期的な活躍につながります。

スムーズに導入!障害者雇用支援の「ファーマーズマーケット」の魅力

「農地や設備を自社で用意するのは難しい」と考える企業には、企業参加型の農福連携施設やサポート付き貸し農園サービスの活用がおすすめです。

ファーマーズマーケットでは、自社ですべての設備を保有しているため「初期費用や設備投資費」は0円で障害者雇用を進めることができます。「初期費用が高くて困っている」と企業様にもおすすめです。

16年にわたり障害者雇用の支援を行っているため、多くの企業様が悩む「どう雇用すればいいか分からない」「定着が難しい」といった場面でも、安心して相談できる心強い選択肢です。 

障害者雇用の進め方に迷ったときにはぜひお気軽にご相談ください。

企業の取り組みを後押し!使える助成金と補助金制度

障がい者の農業雇用を検討する企業にとって、施設整備や人件費などのコストは大きな課題です。ただし、国や自治体ではこうした負担を軽減するための助成金や補助金が用意されています。

これらを活用することで、企業は無理なく、計画的に農福連携へ取り組むことができます。

障害者雇用で活用できる主な助成金一覧

障害者雇用を始める際に、多くの企業が活用している代表的な助成金制度を紹介します。これらの制度は農業分野での雇用にも適用可能であり、企業の状況に合わせて組み合わせて利用することもできます。

特定求職者雇用開発助成金

ハローワークや民間の職業紹介事業者などの紹介により、高齢者や障がい者といった就職が困難な方を継続して雇用する事業主に対して支給される助成金です。

雇い入れる障がい者の種別(身体・知的・精神)や、週の所定労働時間によって支給額や期間が異なります。安定した長期雇用を目指す場合に、人件費の負担を大きく軽減できる制度です。

障がい者トライアル雇用助成金

障害者雇用の経験が少ない企業が、常用雇用へ移行することを前提に、障がい者を原則3ヶ月間試行的に雇用する(トライアル雇用)場合に利用できる助成金です。

企業側は障がい者の業務適性や能力を見極めることができ、雇用される側も実際の業務を経験することで職場への不安を解消できます。農業という新しい環境でのミスマッチを防ぎ、本格的な雇用へスムーズにつなげるための第一歩として非常に有効です。

トライアル雇用終了後に常用雇用へ移行すると、特定求職者雇用開発助成金に切り替えて申請できる場合があります。

障害者雇用安定助成金

雇用した障がい者が職場に長く定着できるよう、適切な雇用管理や能力開発のための措置を講じた事業主に対して支給される助成金です。

例えば、作業の指導やメンタル面のサポートを行う「職場支援員の配置」や、障害特性に合わせた「職場環境の整備」などが対象となります。特に農業分野では、慣れない作業や環境への適応を支える伴走者の存在が不可欠であり、この助成金を活用して支援体制を整えることは、雇用の安定化に直結します。

申請方法と相談窓口とは?

助成金の申請は、多くの場合、計画書の提出、計画に沿った取り組みの実施、そして支給申請という流れで進みます。しかし、制度ごとに要件や手続きが異なるため、まずは専門の窓口に相談することが重要です。

主な相談窓口としては、各都道府県の「ハローワーク(公共職業安定所)」や「労働局」が挙げられます。ハローワークでは求人の相談と併せて助成金に関する情報提供を受けられます。

また、「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)」の各都道府県支部では、障害者雇用に関するより専門的なアドバイスや支援を受けることが可能です。助成金制度は年度によって内容が変更されることもあるため、計画を立てる際は必ず最新の情報をこれらの公的機関に確認するようにしましょう。

まとめ

障がい者の農業雇用は、人手不足という農業の課題解決と、企業のダイバーシティ推進やCSR活動を両立させる有効な手段です。

成功の鍵は「農福連携」の理念に基づき、企業の目的を明確にした上で、業務の切り出しや支援機関との連携といった計画的な準備を進めることにあります。

本記事で紹介した企業の取り組み事例や具体的な導入ステップ、活用できる助成金制度を参考に、ぜひ自社に合った形での導入をご検討ください。障がい者一人ひとりが能力を発揮できる環境を整えることが、企業の成長と持続可能な社会の実現につながります。

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