「職場の人間関係がつらい」「仕事が合わないかも…」障がいのある方が仕事でストレスを感じるのは、特別なことではありません。一人で悩みを抱え込んでいませんか?
この記事では、そんなあなたの心が少しでも軽くなるような具体的な対策を7つご紹介します。まずは自分のストレスの原因を見つける簡単な方法から始め、すぐに試せるセルフケア、会社への相談の仕方、頼れる専門機関までわかりやすく解説します。
あなたに合った解決策は必ず見つかります。この記事を参考に、自分らしく働ける環境づくりのヒントを見つけてください。
この記事を読むと分かること
- 障がい者が仕事でストレスを感じやすい原因は?
- 自分のストレス原因をどうやって特定する?
- 今日からできるセルフケア方法は?
- 社内外の相談先には何がある?
障がい者が仕事でストレスを感じやすい主な原因とは?
仕事でストレスを感じるのは、障がいのあるなしにかかわらず誰にでもあることです。しかし、障がい特性によっては、他の人にはない特有の理由でストレスを抱えやすい側面もあります。まずは、どのようなことがストレスの原因になりやすいのか、ご自身の状況と照らし合わせながら確認してみましょう。
職場の人間関係とコミュニケーションの壁
職場のストレスで最も多い原因の一つが人間関係です。
障がい特性によってコミュニケーションの取り方に特徴がある場合、周りとのすれ違いが生まれやすく、それがストレスにつながることがあります。
「悪気はないのに誤解されてしまう」「うまく輪に入れない」といった経験から、孤立感や疎外感を覚えてしまう方も少なくありません。
| 障がい特性の例 | コミュニケーションで起こりやすい悩み |
| ASD(自閉スペクトラム症)の特性 | 曖昧な指示の理解が難しい、言葉を文字通りに受け取ってしまう、雑談や世間話が苦手、相手の表情や声のトーンから気持ちを読み取るのが難しい |
| ADHD(注意欠如・多動症)の特性 | 人の話を最後まで聞く前に話し始めてしまう、集中がそれて話の内容を忘れてしまう、思ったことをすぐに口に出してしまう |
| 聴覚障がい・聴覚過敏 | 会議や複数人での会話が聞き取りにくい、騒がしい場所だと会話に集中できない、特定の音が苦痛に感じる |
仕事内容や業務量が特性に合わない
障がいのある方は、得意なことと苦手なことがはっきりしているケースが多く見られます。そのため、ご自身の障がい特性や能力に合わない仕事を任されると、大きなストレスを感じやすくなります。
例えば、集中力の維持が難しい方が長時間のデータ入力を任されたり、マルチタスクが苦手な方が複数の業務を同時に頼まれたりすると、能力を発揮しにくいだけでなく、心身ともに疲弊してしまいます。
逆に、業務量が少なすぎたり、簡単すぎる作業ばかりだったりすると、「自分は信頼されていないのではないか」とやりがいを失い、それもまたストレスの原因となります。
障がいへの理解不足や不十分な配慮
障害者雇用で入社した場合でも、職場の上司や同僚が障がいについて十分な知識や理解を持っているとは限りません。その結果、必要な配慮が得られず、働きづらさを感じてしまうことがあります。
例えば、「体調不良で休憩を申し出たら、怠けていると誤解された」「口頭ではなくメモで指示してほしいと伝えたのに、忘れられてしまう」といった状況です。
こうした経験が続くと、わかってもらえないという諦めや、迷惑をかけているという罪悪感につながり、精神的な負担が大きくなります。
ミスへの恐怖や将来への漠然とした不安
障がい特性が原因で、仕事でミスをしてしまったり、他の人より時間がかかってしまったりすることがあるかもしれません。
そうした経験から、「また失敗したらどうしよう」「周りに迷惑をかけてしまう」と、ミスを過度に恐れてしまうことがあります。常に緊張状態で仕事をすることになり、精神的に追い詰められてしまうのです。
また、「このまま今の仕事を続けられるだろうか」「体調が悪化したらどうしよう」といった、将来のキャリアや生活に対する漠然とした不安も、日々のストレスを増幅させる大きな要因となります。
通勤や物理的な職場環境による負担
仕事そのものだけでなく、職場へ行くまでの道のりや、オフィスの環境がストレスの原因になることもあります。
特に、体力に不安のある方や感覚過敏のある方にとって、満員電車での通勤は心身を大きく消耗させます。職場に着く頃にはすでに疲れ果ててしまい、仕事に集中できないという方も少なくありません。
また、オフィスの照明が明るすぎる、電話や話し声が常に聞こえてうるさい、特定の匂いが気になるなど、感覚過敏の特性に合わない環境も大きな負担となります。身体的な制限がある方にとっては、通路が狭かったり、段差があったりすることも物理的なストレスです。
あなたのストレスはどこから?原因の特定方法
仕事で「なんだか辛い」「疲れた」と感じても、その原因がはっきりしないことはありませんか?効果的な対策を立てるためには、まずご自身のストレスが何から来ているのかを知ることが第一歩です。
ここでは、ストレスの原因を見つけるための具体的な方法を2つご紹介します。
ストレスを感じる状況や感情を書き出す
頭の中でモヤモヤしている感情や考えを、一度紙やスマートフォンのメモに書き出してみましょう。
自分の状況を客観的に見つめ直すことができ、ストレスの原因となっているパターンが見えてくることがあります。これを「ジャーナリング」と呼ぶこともあります。
難しく考えず、まずは「いつ、どこで、誰と、何をしている時に、どんな気持ちになったか」を記録することから始めてみてください。感情だけでなく、頭痛や腹痛、動悸といった身体の変化も一緒にメモしておくと、心と体のつながりが分かりやすくなります。
| いつ | 状況(どこで・誰と・何を) | 感じたこと(感情・身体の変化) | その時考えたこと |
| 月曜日の午前中 | 自分のデスクで、上司から急ぎの仕事を頼まれた時 | 心臓がドキドキした、焦り、不安を感じた | 「またミスしたらどうしよう」「期待に応えられないかもしれない」 |
| 毎日の昼休み | 休憩室で、同僚たちが雑談している輪から離れて一人でいる時 | 孤独感と、少しホッとする気持ちが混ざっていた | 「話に入れないのが辛い」「でも、一人でいる方が気楽だ」 |
| 金曜日の夕方 | 電車で通勤している時 | ひどい疲労感、頭が重い | 「今週もなんとか乗り切った」「週末は何もしたくない」 |
このように書き出してみると、特定の状況や人物、時間帯にストレスを感じやすいといった傾向が見えてくるはずです。毎日続けるのが難しければ、特に辛かった日だけでも構いません。自分のペースで試してみてください。
信頼できる第三者に話して客観視する
一人で考え込んでいると、どうしても視野が狭くなりがちです。そんな時は、信頼できる誰かに話を聞いてもらうのがおすすめです。人に話すことで、自分では気づかなかったストレスの原因や、気持ちが整理されるきっかけが見つかることがあります。
相談相手は、家族や友人、職場の信頼できる上司や同僚など、あなたが「この人になら安心して話せる」と思える人なら誰でも構いません。もし身近な人に話しにくい場合は、後ほど紹介する社内の相談窓口や外部の専門機関を頼るのも有効な手段です。
話すときは、必ずしも解決策を求める必要はありません。「ただ話を聞いてほしい」と伝えるだけでも、気持ちが楽になることはよくあります。自分の感情を言葉にして外に出すことで、客観的に自分を見つめ直し、次の一歩を踏み出すためのヒントが得られるでしょう。
【今日からできる!】障がい者の仕事のストレス対策7選
仕事のストレスは、気づかないうちに心と体に大きな負担をかけてしまいます。
ここでは、ご自身の状況に合わせて今日から試せる7つの対策を、段階的にご紹介します。まずは自分ひとりでできることから始め、必要に応じて周囲のサポートを得ていきましょう。
対策1 すぐに実践できるセルフケアで心と体を休める
ストレス対策の基本は、心と体をしっかり休ませることです。
疲れが溜まっていると感じたら、まずは意識的に休息を取り入れましょう。仕事のパフォーマンスを維持するためにも、セルフケアは非常に重要です。
質の高い睡眠を意識する
睡眠不足は、集中力の低下や気分の落ち込みに直結します。質の高い睡眠をとるために、次のような習慣を試してみてはいかがでしょうか。
- 就寝1時間前からはスマートフォンやパソコンの画面を見ないようにする
- 毎日なるべく同じ時間に起きて、体内リズムを整える
- 寝室を暗く静かにし、快適な温度・湿度に保つ
- カフェインの摂取は午後に控える
ぐっすり眠ることで、脳と体の疲労が回復し、ストレスに強い心身を育てることができます。
軽い運動や趣味で気分転換を図る
仕事のことで頭がいっぱいになってしまう時は、意識的に気分転換を図ることが大切です。ウォーキングやストレッチなどの軽い運動は、心身をリフレッシュさせるのに効果的です。
運動が苦手な方は、好きな音楽を聴いたり、読書をしたり、映画を観たりと、自分が心から「楽しい」と思える趣味の時間を作りましょう。仕事とは全く関係のないことに没頭する時間が、ストレスを和らげてくれます。
マインドフルネスで今の自分に集中する
「過去のミスを思い出して落ち込む」「未来のことを考えて不安になる」という場合は、マインドフルネスが役立ちます。
マインドフルネスとは、「今、この瞬間」の自分の状態に意識を向ける心のトレーニングです。難しく考える必要はありません。静かな場所で椅子に座り、ただ自分の呼吸に意識を集中させるだけでも効果があります。
「吸って、吐いて」という呼吸のリズムを感じることで、頭の中の雑念が整理され、心が落ち着いてくるでしょう。
対策2 仕事の進め方やタスク管理を工夫する
仕事の進め方や段取りがストレスの原因になっていることも少なくありません。自分の特性に合ったやり方を見つけることで、業務の負担を大きく減らせます。
- タスクの見える化:その日にやるべきことをリストに書き出し、終わったものから消していくと、達成感を得やすくなります。
- タスクの細分化:大きな仕事は、小さなステップに分解しましょう。「企画書を1時間で完成させる」ではなく、「まず30分で構成案を考える」のように具体的にすることで、取りかかりやすくなります。
- 時間管理術の活用:「25分作業して5分休憩する」を繰り返すポモドーロ・テクニックなど、集中力を維持するための時間管理術を試してみるのも良いでしょう。
自分に合った方法で仕事の段取りを整えることで、焦りや混乱を防ぎ、落ち着いて業務に取り組めるようになります。
対策3 上司に相談し合理的配慮を求める
セルフケアや業務の工夫だけでは解決が難しい場合は、勇気を出して上司に相談し、必要な配慮を求めましょう。
障害者雇用促進法では、事業主に対して、障がいのある従業員が働きやすいように「合理的配慮」を提供することが義務付けられています。これは、あなたの能力を最大限に発揮するために必要な、正当な権利です。
相談する際は、「何に困っているか」「どうしてほしいか」を具体的に伝えることがポイントです。感情的に訴えるのではなく、事実を整理して冷静に話すことで、相手も状況を理解しやすくなります。
| 困りごとの例 | 希望する配慮の例 |
| 口頭での指示が多く、忘れたり聞き間違えたりしてしまう | メールやチャットなど、文章で指示を出してもらう |
| 周囲の雑音が気になって集中できない | パーテーションの設置や、空いている会議室での作業を許可してもらう |
| 疲れやすく、1日中働き続けるのがつらい | 定期的な短い休憩の取得や、時差出勤・短時間勤務を認めてもらう |
| 急な業務や電話応対が苦手でパニックになってしまう | 担当業務を明確にし、突発的な業務は他の人に依頼できる体制にしてもらう |
対策4 社内の相談窓口や産業医を活用する
「上司に直接話すのは抵抗がある」「相談しても理解してもらえなかった」という場合は、社内に設置されている相談窓口を活用しましょう。多くの企業には、人事部や総務部、コンプライアンス担当部署などに相談窓口が設けられています。
また、従業員50人以上の事業場には産業医がいます。産業医や保健師は、医学的な視点から心身の健康に関する相談に乗り、会社に対して職場環境の改善などを助言してくれる専門家です。相談内容の秘密は守られますので、安心して悩みを打ち明けることができます。
対策5 外部の専門機関に相談してサポートを受ける
社内での解決が難しいと感じたら、会社の外にある専門機関に相談するのも有効な手段です。
公的な支援機関には、障がいのある方の就労を専門にサポートする相談員が在籍しています。客観的な第三者の視点から、あなたの状況に合ったアドバイスをもらえたり、場合によっては会社との間に入って調整を行ってくれたりすることもあります。
一人で抱え込まず、専門家の力を借りることを検討しましょう。具体的な相談先については、後の章で詳しくご紹介します。
対策6 休職制度を利用し心身の回復に専念する
ストレスが限界に達し、心身の不調で働くことが困難になった場合は、休職制度を利用して治療と休養に専念することも大切な選択肢です。
休職は「逃げ」ではなく、自分自身を守り、再び元気に働くための積極的な「回復期間」と捉えましょう。休職するには、多くの場合、医師による診断書が必要です。
また、休職期間中の生活を支えるために、健康保険から傷病手当金が支給される制度もあります。まずはかかりつけ医や会社の担当部署に相談してみてください。
対策7 どうしても辛いなら転職で環境を変える
あらゆる対策を試しても状況が改善せず、今の職場で働き続けることがどうしても辛い場合は、転職して環境を変えることが最善の解決策になることもあります。
職場環境や人間関係、仕事内容そのものがストレスの原因である場合、個人の努力だけでは限界があるからです。
転職は大きな決断ですが、あなたらしく能力を発揮できる職場は必ずあります。次の職場を探す際は、これまでの経験を活かし、「どのような配慮があれば働きやすいか」を具体的に整理しておくことが重要です。
就労移行支援事業所などのサポートを受けながら、自分の特性に合った職場をじっくりと探すことで、より良い環境で再スタートを切ることができるでしょう。
障がい者の仕事やストレスの悩みを相談できる公的機関
職場の上司や同僚には話しにくい悩みも、外部の専門機関なら安心して相談できます。
ここでは、障がいのある方が仕事や生活の悩みを相談できる公的機関やサービスをご紹介します。あなたに合った相談先を見つける参考にしてください。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターは、障がいのある方一人ひとりに対して、専門的なサポートを行う国の機関です。
カウンセラーや専門スタッフが、あなたの障がい特性や職業能力を客観的に評価(職業評価)し、どんな仕事が向いているか、どんな配慮が必要かを一緒に考えてくれます。
また、職場に専門スタッフが訪問し、仕事の進め方や同僚とのコミュニケーションをサポートしてくれる「ジョブコーチ支援」も利用できます。「今の仕事が本当に自分に合っているか不安」「職場でうまくコミュニケーションが取れない」といった専門的な悩みを相談したい場合に頼りになる存在です。
障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)
「なかぽつ」という愛称で呼ばれるこのセンターは、仕事のことだけでなく、健康管理やお金の管理といった生活面の相談にも乗ってくれる、身近な支援機関です。
仕事のストレスが原因で生活リズムが乱れてしまったり、将来の生活に不安を感じたりすることもあるでしょう。ここでは、就職に関するサポートと、安定した生活を送るためのサポートを一体的に受けることができます。「仕事も生活も、まとめて相談したい」という方にぴったりの場所です。
ハローワークの専門援助部門
ハローワークには、障がいのある方の就職を専門にサポートする「専門援助部門」という窓口が設置されています。
ここでは、障がいへの理解がある企業の求人を紹介してもらえるだけでなく、就職に関する様々な相談ができます。履歴書や職務経歴書の書き方、面接の練習など、あなたの状況に合わせて丁寧にサポートしてくれます。
転職を考えているけれど、何から始めたら良いか分からないという場合も、まずはこの窓口で相談してみるのがおすすめです。
就労移行支援事業所の定着支援
就労移行支援事業所を利用して就職した場合、就職後も「定着支援」というサポートを受けられます。これは、あなたが職場で安心して長く働き続けられるように、事業所のスタッフが定期的にサポートしてくれる制度です。
月に一度の面談などで、仕事の悩みや人間関係の不安などを相談できます。あなたから直接職場に言いにくいことがあれば、スタッフが間に入って会社側と調整してくれることもあります。就職して間もない時期の不安を和らげ、心強い味方となってくれるサービスです。
自然の中で無理なく働く!農業型雇用サービス「ファーマーズマーケット」
公的な機関とは少し異なりますが、ストレス対策として「働く環境」そのものを変えるという選択肢もあります。
例えば、農業を通じて障がいのある方の雇用をサポートする「ファーマーズマーケット」もその一つです。
自然の中で土に触れ、体を動かしながら働くことは、心身のリフレッシュにつながることがあります。また、このような職場は、比較的コミュニケーションの機会が少なく、自分のペースで黙々と作業に集中したい方に適している場合があります。
人間関係のストレスを減らしたい、静かな環境で働きたいと考えている方は、こうしたユニークな働き方も検討してみてはいかがでしょうか。ぜひ気になる方はお気軽にご相談ください。
まとめ
障がいのある方が仕事でストレスを感じるのは、決して珍しいことではありません。
原因は人間関係や仕事内容のミスマッチなど様々です。大切なのは、まず自分のストレスの原因を知り、一人で抱え込まないことです。
この記事で紹介したセルフケアや職場への相談、外部の専門機関の活用など、自分に合った対策を試してみてください。どうしても辛いときは、環境を変える転職も選択肢の一つです。
あなたに合った働き方を見つけるために、できることから一歩踏み出してみましょう。



