障がいを持って働く中で、「仕事のプレッシャーが辛い」「周りに迷惑をかけていないか不安」と一人で悩んでいませんか?
この記事を読めば、障害特性や職場環境が原因でプレッシャーを感じる仕組みが分かります。さらに、ご自身の特性に合わせて明日から実践できるプレッシャーの軽減術や、どうしても辛いときの具体的な対処法も知ることができます。
原因を正しく理解し、あなたに合った対策を見つけることで、もっと安心して働けるようになるはずです。
この記事を読むと分かること
- 障がい者が仕事でプレッシャーを感じやすいのはなぜ?
- 仕事のプレッシャーを軽減するには、どんな工夫をすればいい?
- どうしても辛いとき、休職や支援機関の活用などどんな選択肢がある?
障がい者が仕事でプレッシャーを感じる主な原因とは?
仕事でプレッシャーを感じるのは、障がいの有無にかかわらず誰にでもあることです。しかし、障がいのある方は、その特性や周囲の環境が要因となり、より強くプレッシャーを感じてしまうことがあります。
ここでは、障がいのある方が仕事でプレッシャーを感じやすい主な原因を「障害特性」「職場環境」「人間関係」の3つの側面から詳しく見ていきましょう。
障害特性による原因
ご自身の障害特性が、仕事の進め方やコミュニケーションに影響し、プレッシャーの原因となっている場合があります。
ここでは代表的な障がいごとに、どのような場面でプレッシャーを感じやすいのかを解説します。
発達障害(ADHD ASD)の場合
発達障害のある方は、脳機能の特性から、特定の業務やコミュニケーションで困難を感じやすく、それがプレッシャーにつながることがあります。
| 障がい名 | 特性の例 | プレッシャーを感じる具体例 |
| ADHD(注意欠如・多動症) | 不注意・多動性・衝動性 | ・ケアレスミスが多く、何度も指摘されることで「また失敗するかも」と不安になる。
・複数のタスクを同時に管理するのが苦手で、締め切りに追われるとパニックになる。 ・思ったことをすぐ口にしてしまい、人間関係を損なわないか常に気を張っている。 |
| ASD(自閉スペクトラム症) | コミュニケーションの特性・強いこだわり・感覚過敏 | ・「あれ、やっといて」のような曖昧な指示が理解できず、確認するたびに申し訳なさを感じる。
・職場の雑談や暗黙のルールが分からず、孤立感や疎外感を抱きやすい。 ・オフィスの電話の音や照明が気になり、仕事に集中できない自分を責めてしまう。 |
精神障害(うつ病など)の場合
うつ病や双極性障害、不安障害などの精神障害のある方は、症状の波によって安定して働くこと自体に大きなプレッシャーを感じることがあります。
| 障がい名 | 症状の例 | プレッシャーを感じる具体例 |
| うつ病・不安障害など | 意欲の低下・疲労感・気分の落ち込み・強い不安 | ・日によって体調や気分の波が激しく、思うように仕事が進まないことに焦りや罪悪感を覚える。
・「また症状が悪化して休んでしまうのでは」という再発への不安が常につきまとう。 ・周囲に病気のことを理解してもらえず、「怠けている」と思われているのではないかと感じてしまう。 |
身体障害・内部障害の場合
身体障害や、外見からは分かりにくい内部障害のある方は、体調管理や物理的な環境がプレッシャーの原因となることがあります。
| 障がいの種類 | 困難さの例 | プレッシャーを感じる具体例 |
| 身体障害 | 移動や動作の制限・疲れやすさ | ・職場の設備がバリアフリーに対応しておらず、移動や作業に時間がかかり、周りを待たせてしまう。
・健常者と同じ業務量でも体力の消耗が激しく、期待に応えられないことへのプレッシャーを感じる。 |
| 内部障害 | 外見で分かりにくい体調不良・通院の必要性 | ・見た目は元気そうに見えるため、体調の辛さを訴えても理解されず、無理をしてしまう。
・定期的な通院や急な体調不良で休みを取ることに、引け目や申し訳なさを感じる。 |
職場環境による原因
個人の特性だけでなく、職場環境そのものが大きなプレッシャーを生み出す原因になります。特に、障がいへの理解や配慮が不足している環境では、能力を十分に発揮することが難しくなります。
- 合理的配慮の不足
「合理的配慮」とは、障がいのある人が他の人と同じように働けるよう、職場が行うべき配慮のことです。例えば、静かな作業場所の提供や、業務内容の調整などが挙げられます。こうした配慮が受けられないと、無理をして心身に負担がかかり、強いプレッシャーにつながります。 - 過度な業務量や高いノルマ
障がいの特性や体調に関わらず、一律の業務量や高い目標が課されると、「達成しなければならない」というプレッシャーに押しつぶされそうになります。自分のペースで仕事を進められない環境は、大きなストレス源です。 - 業務内容とのミスマッチ
自分の得意なことや苦手なことを考慮されずに業務を割り振られ、苦手な作業ばかりを担当させられると、ミスが増えたり、極端に時間がかかったりします。その結果、自信を失い、仕事へ行くこと自体が苦痛になってしまいます。
人間関係による原因
職場の人間関係は、仕事のモチベーションを左右する重要な要素です。特に障がいのある方にとっては、周囲の理解が得られるかどうかが、安心して働けるかどうかの分かれ道になることも少なくありません。
- 障がいへの無理解や偏見
上司や同僚に障害特性への理解がなく、「やる気がない」「変わっている」といった偏見の目で見られると、職場に居場所がないように感じてしまいます。心ない一言に傷つき、萎縮してしまうこともプレッシャーの原因です。 - 過剰な配慮による疎外感
良かれと思って「この仕事は難しいだろうからやらなくていいよ」と、過剰に配慮された結果、簡単な仕事しか任せてもらえなくなるケースもあります。成長の機会を奪われ、自分だけが取り残されているような疎外感も、つらいプレッシャーとなります。 - 相談しにくい雰囲気
「困っているけれど、こんなことを相談したら迷惑がられるかもしれない」「忙しそうだから話しかけにくい」といった雰囲気の職場では、悩みを一人で抱え込みがちです。誰にも頼れない状況は、不安やプレッシャーを増大させてしまいます。
仕事のプレッシャーを減らす!特性に合わせた軽減術5選
仕事で感じるプレッシャーは、工夫次第で軽くすることができます。
ここでは、ご自身の障害特性に合わせて明日からでも試せる具体的なプレッシャー軽減術を5つご紹介します。自分に合いそうなものから、ぜひ取り入れてみてください。
① 業務の見える化とタスク管理
「何から手をつければいいかわからない」「仕事の全体像が見えなくて不安」といった状況は、大きなプレッシャーの原因になります。
特に、マルチタスクや優先順位付けが苦手な傾向がある発達障害(ADHD、ASD)の方にとって、業務の「見える化」は非常に効果的です。
まずは、やるべきことを全て紙やタスク管理ツールに書き出してみましょう。そして、上司に相談しながら「いつまでに」「何を」「どのレベルまで」やるべきかを確認し、優先順位をつけます。
大きな仕事は「資料を探す」「構成を考える」「下書きをする」といったように、小さなステップに分解すると、一歩ずつ着実に進めやすくなります。完了したタスクにチェックを入れることで、達成感も得られ、自信につながるでしょう。
② 完璧主義を手放す考え方
「絶対にミスをしてはいけない」「100点満点の成果を出さなければ」という完璧主義は、自分自身を追い詰める過度なプレッシャーになりがちです。特に、真面目で責任感の強い方や、うつ病などの精神障害を経験した方は、この傾向が強まることがあります。
まずは「100点ではなく60〜80点を目指す」と考えてみましょう。仕事は、常に完璧な成果が求められるわけではありません。大切なのは、期限内に仕事を完成させることです。
もし失敗しても、それは次に活かせる貴重な学びの機会と捉え直してみましょう。自分の考え方のクセに気づき、少しずつ楽な考え方に変えていくことが、プレッシャーを和らげる鍵となります。
③ 頼れる人や相談窓口を作る
プレッシャーや不安を一人で抱え込むと、問題がどんどん大きく感じてしまい、心身ともに疲弊してしまいます。困ったときに「助けて」と言える人や場所を、社内と社外の両方に作っておくことが大切です。
社内では、直属の上司や話しやすい先輩、人事部の担当者、産業医などが相談相手になります。定期的な面談の機会などを利用して、困っていることを具体的に伝えてみましょう。
社外では、主治医やカウンセラー、家族や友人、あるいは地域の「障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)」のような公的機関も頼りになります。相談することで気持ちが楽になるだけでなく、自分では思いつかなかった解決策が見つかることもあります。
④ 自分に合った環境調整を依頼する
障害特性によっては、職場環境そのものがプレッシャーやストレスの原因になることがあります。
例えば、聴覚過敏で周りの物音が気になって集中できなかったり、疲れやすくて長時間の勤務が辛かったりする場合です。このような場合は、職場に「合理的配慮」として環境の調整を依頼することができます。
合理的配慮とは、障がいのある人が働きやすくなるように、職場が行う工夫や調整のことです。大切なのは、感情的にならずに「どのような特性で」「何に困っていて」「どうしてほしいか」を具体的に伝えることです。
以下に配慮の例を挙げますので、参考にしてみてください。
| 困りごとの例(障害特性) | 環境調整(合理的配慮)の依頼例 |
| 聴覚過敏で、周囲の雑音が気になり集中できない | 業務に集中するためのノイズキャンセリングイヤホンの使用許可や、パーテーションの設置、比較的静かな座席への変更を依頼する |
| 視覚情報が多いと混乱してしまう | 書類のフォーマットを統一してもらったり、掲示物やデスク周りを整理整頓させてもらったりする |
| 口頭での指示は忘れたり聞き間違えたりしやすい | チャットやメールなど、文字で指示を出してもらうよう依頼する |
| 疲れやすく、体力の消耗が激しい | 定期的な短い休憩の許可や、時差出勤・時短勤務、在宅勤務などを相談する |
| 急な電話応対に強いストレスを感じる | 電話応対の業務を減らしてもらうか、他の業務に切り替えてもらうことを相談する |
⑤ 心と体を休めるセルフケアを習慣化する
プレッシャーを感じているとき、私たちの心と体は常に緊張状態にあります。この緊張を意識的にほぐし、エネルギーを充電する「セルフケア」を毎日の生活に取り入れましょう。
例えば、「仕事が終わったらスマートフォンの通知をオフにする」など、仕事とプライベートを切り替えるルールを作るのも良い方法です。また、寝る前に軽いストレッチをする、好きな音楽を聴きながらお風呂にゆっくり浸かる、休日は趣味に没頭するなど、自分が「心地よい」と感じる時間を作ることが大切です。
質の良い睡眠やバランスの取れた食事、軽いウォーキングなども、ストレスへの抵抗力を高めてくれます。自分を大切にする時間を習慣にすることで、プレッシャーに負けない心と体を育てていきましょう。
一人で悩まないで!どうしても仕事のプレッシャーが辛いときの対処法
セルフケアや周囲への働きかけを試しても、どうしても仕事のプレッシャーが軽くならない…。そんなときは、一人で抱え込まずに、より具体的なアクションを起こすことが大切です。
ここでは、心と体を守るための3つの対処法をご紹介します。
上司や人事部に相談する
プレッシャーの原因が業務量や職場環境にある場合、まずは会社に相談してみましょう。
最初に相談すべき相手は、あなたの状況を把握しやすい直属の上司です。もし上司に話しにくい場合は、人事部や労務担当者、社内にいれば産業医やカウンセラーに相談するのも一つの方法です。
相談する際は、感情的に「辛い」と伝えるだけでなく、「どのような業務で、いつ、どんなプレッシャーを感じるか」「その結果、心身にどのような影響が出ているか」「可能であれば、どのように改善してほしいか」を具体的に伝えることがポイントです。
障害者雇用で働いている場合、会社には障がいの特性に応じて働きやすい環境を整える「合理的配慮」の提供が義務付けられています。勇気を出して相談することで、状況が改善される可能性があります。
休職という選択肢を検討する
プレッシャーによって不眠や食欲不振、気分の落ち込みなどが続き、日常生活に支障が出ている場合は、思い切って仕事を休む「休職」も重要な選択肢です。
休職は逃げではなく、心と体を回復させ、再び自分らしく働くための「戦略的な休息」と捉えましょう。
休職するには、多くの場合、心療内科や精神科の医師による診断書が必要です。まずは専門医に相談し、自分の状態を客観的に判断してもらいましょう。また、休職中の経済的な不安を軽減するために、健康保険から給与の一部が支給される「傷病手当金」などの制度も利用できる場合があります。
まずは会社の就業規則で休職に関する規定を確認し、人事部などに手続きについて問い合わせてみてください。
自分に合う仕事へ転職を考える
今の職場環境や仕事内容が、どうしても自分の特性に合わないと感じる場合、環境を変える「転職」が最善の解決策になることもあります。
自分に合った環境で働くことは、プレッシャーを軽減し、能力を最大限に発揮するために非常に重要です。
ただし、焦って転職活動を始めると、同じ失敗を繰り返してしまう可能性もあります。まずは「なぜプレッシャーを感じるのか」「次の職場では何を大切にしたいのか」を自己分析することから始めましょう。障がいのある方の転職活動をサポートしてくれる専門のサービスもたくさんありますので、積極的に活用することをおすすめします。
就労移行支援事業所を活用する
就労移行支援事業所とは、一般企業への就職を目指す障がいのある方向けに、職業訓練や就職活動のサポートを行う福祉サービスです。
働くことにブランクがあったり、社会人経験に不安があったりする場合に特に有効です。ビジネスマナーやPCスキルなどの実践的なトレーニングを受けながら、自己分析を深め、自分に合った仕事探しを専門の支援員と二人三脚で進めることができます。就職後も、職場に定着できるようサポートしてくれる「定着支援」も受けられます。
障害者専門の転職エージェントに相談する
障害者専門の転職エージェントは、障害者雇用に特化した求人紹介や転職サポートを無料で提供してくれるサービスです。
障がいへの理解があるキャリアアドバイザーが、あなたの経験やスキル、希望に合った求人を紹介してくれます。非公開求人など、個人では見つけにくい企業の情報を得られることも大きなメリットです。履歴書・職務経歴書の添削や面接対策、企業との条件交渉なども代行してくれるため、働きながらの転職活動や、一人での活動に不安がある方に最適です。
障害者雇用支援に特化した「ファーマーズマーケット」のメリット
世の中には、特定の分野や職種に特化したユニークな障害者雇用支援サービスも存在します。例えば、農業分野での就労を支援する「ファーマーズマーケット」のようなサービスです。
自然の中で働くことを通じて心身の健康を回復させながら、専門スキルを身につけることができます。気になる方はぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
障がいのある方が仕事でプレッシャーを感じるのは、決して珍しいことではありません。その原因は、ご自身の障害特性だけでなく、職場環境や人間関係も大きく影響します。
まずは、仕事の進め方を工夫したり、考え方を少し変えたりすることから始めてみましょう。それでも状況が改善せず辛いときは、一人で悩まないことが何より大切です。
信頼できる上司や、就労移行支援事業所のような専門機関に相談し、休職や転職も視野に入れてみてください。原因を理解し、あなたに合った対処法を見つけることで、無理なく働き続ける道は必ず開けます。



