「将来、仕事に就けるだろうか」「この先ずっと働き続けられるかな」障がいのある方が抱える仕事への不安は、いつまで続くのかと悩んでいませんか?
結論から言うと、その不安は適切な準備と支援があれば、いつでも安心に変えられます。
この記事では、まず不安を感じる根本的な原因を解き明かします。その上で、不安を解消するための具体的な4ステップや、無料で相談できる専門機関、生活を支える公的な支援制度まで詳しく解説しています。
一人で抱え込まず、あなたに合った働き方を見つけるための第一歩を、この記事と一緒に踏み出しましょう。
この記事を読むと分かること
- 障がい者が、将来の仕事に不安を感じやすいのはなぜ?
- 仕事への不安を安心に変えるには、具体的にどうすればいい?
- 無料で相談できる支援機関には、どんなサービスがある?
なぜ障がい者は将来の仕事への不安を感じるのか?よくある原因5つ
将来の仕事への不安は、障がいの有無にかかわらず多くの人が抱えるものです。しかし、障がいのある方の場合、より複雑な不安を感じやすい傾向があります。
ここでは、多くの障がい当事者の方が抱えがちな、仕事に関する不安の具体的な原因を5つご紹介します。まずはご自身の不安の正体を見つめ直してみてください。
① 就職や転職がうまくいくか分からない
まず挙げられるのが、就職や転職活動そのものに対する不安です。
自分の障がいを企業に伝えて働く「オープン就労」か、伝えないで働く「クローズ就労」か、どちらが自分にとって良いのか迷う方は少なくありません。
また、書類選考や面接で不採用が続くと、「自分を雇ってくれる会社なんてないのでは…」と自信を失ってしまうこともあります。希望する職種の求人が少なかったり、自分のスキルや経験に合う仕事が見つからなかったりすることも、将来への不安を大きくする一因です。
② 仕事を継続できるか自信がない
無事に就職できたとしても、「この仕事を長く続けられるだろうか」という不安は常につきまといます。障害特性による体調や精神の波によって、毎日同じように出勤することにプレッシャーを感じる方もいるでしょう。
また、過去に体調を崩して退職した経験があるとトラウマから、新しい一歩を踏み出すのが怖くなってしまうこともあります。
業務のスピードについていけるか、ミスなくこなせるかといった、仕事のパフォーマンスへの不安も尽きません。
③ 経済的な自立ができるか心配
仕事は、生活を支えるための大切な基盤です。そのため、経済的な自立ができるかどうかは、非常に大きな関心事となります。
特に、体調面からフルタイム勤務が難しく、短時間勤務を選択せざるを得ない場合、収入面での不安はさらに大きくなります。
障害年金などの公的支援を受けていても、将来の生活費や万が一の出費を考えると、心もとなく感じてしまう方が多いのが実情です。
④ 職場の人間関係や理解度への不安
仕事内容と同じくらい、あるいはそれ以上に大きな不安要素となるのが、職場の人間関係です。
自分の障がいについて、上司や同僚が正しく理解し、受け入れてくれるかは、働きやすさを大きく左右します。必要な配慮を申し出たいけれど「わがままだと思われないか」とためらってしまったり、逆に過剰な配慮によって居心地の悪さを感じたりすることもあります。
コミュニケーションの取り方や距離感に悩み、職場で孤立してしまうことへの恐れも、大きなストレスとなり得ます。
| 不安を感じる場面 | 具体的な心配ごとの例 |
| 障がいを伝えるとき | 偏見を持たれないか、正しく伝わるか不安。 |
| 業務中のコミュニケーション | 会話の輪に入れない、指示を一度で理解できないかもしれない。 |
| 必要な配慮を頼むとき | 言い出しにくい、迷惑だと思われないか心配。 |
⑤ 親なき後の生活が想像できない
特にご実家で暮らしている方にとって、「親なき後」の生活は、漠然としながらも非常に重い不安です。
現在は親のサポートがあるからこそ仕事と生活が両立できていても、「親がいなくなったら、自分一人で金銭管理や家事をこなし、仕事を続けられるだろうか」と想像すると、目の前が真っ暗になるように感じる方もいるでしょう。
仕事探しを始めるにあたっても、この「親なき後の不安」が足かせとなり、なかなか前に進めないケースも少なくありません。仕事だけでなく、生活全般をどう成り立たせていくかという、より大きな課題が根底に横たわっています。
障がい者の仕事への不安を安心に変える!具体的な実践4ステップ
将来の仕事に対する漠然とした不安をそのままにしておくと、どんどん大きくなってしまいます。
ここでは、不安を具体的な行動に変え、安心を手に入れるための4つのステップをご紹介します。一つひとつ、できることから始めてみましょう。
ステップ1 不安の正体を書き出して整理する
まず最初に行うべきことは、頭の中にあるモヤモヤとした不安を「見える化」することです。不安の正体が分からないままでは、対策の立てようがありません。
ノートやスマートフォンのメモ機能など、何でも良いので、今感じている不安をすべて書き出してみましょう。
「何から書けばいいか分からない」という方は、下の表のように「仕事」「生活」「人間関係」といったカテゴリに分けて考えると、整理しやすくなります。
| カテゴリ | 不安なことの具体例 |
| 就職・転職 | 自分に合う求人が見つかるだろうか。面接で障害についてうまく説明できるか不安。 |
| 仕事内容 | 任された仕事を最後までやり遂げられるか自信がない。ミスをして周りに迷惑をかけないか心配。 |
| 人間関係 | 職場で孤立してしまわないか。障害のことを理解してもらえるだろうか。 |
| 経済面・生活 | もらえる給料だけで生活していけるのか。体調を崩さずに働き続けられるか。 |
書き出すことで、「自分が何に一番不安を感じているのか」が客観的に見えてきます。これが、次の一歩を踏み出すための大切な地図になります。
ステップ2 自分の強みと配慮してほしいことを知る
不安を整理できたら、次は自分自身について深く知る「自己分析」のステップです。
就職活動を成功させ、長く働き続けるためには、自分のできること(強み)と苦手なこと(配慮してほしいこと)の両方を正しく理解し、相手に伝えることが重要になります。
強みというと難しく感じるかもしれませんが、「コツコツ作業するのが好き」「時間をきっちり守れる」といったことも立派な強みです。
また、配慮してほしいことも「大きな音や声が苦手です」と伝えるだけでなく、「静かな場所なら集中できます」のように、どうすれば働きやすくなるかをセットで考えてみましょう。
下の表を参考に、自分の特徴を整理してみてください。一人で考えるのが難しい場合は、家族や友人、支援機関のスタッフに手伝ってもらうのも良い方法です。
| 自分の特徴 | 強みとして活かせること | 配慮してほしいことの伝え方例 |
| 一つのことに集中するのが得意 | データ入力や検品など、正確性が求められる作業で力を発揮できます。 | 複数の指示を同時に受けると混乱しやすいため、一つずつ指示をいただけると助かります。 |
| 疲れやすい・体力に自信がない | 短時間でも集中して業務に取り組むことができます。 | 定期的に短い休憩を取らせていただくか、長時間の立ち仕事は避けるなどの配慮を希望します。 |
| 決まった手順で進めるのが好き | マニュアルが整備された業務であれば、早く覚えて安定して遂行できます。 | 急な業務内容の変更は苦手なため、可能な範囲で事前に教えていただけると安心です。 |
ステップ3 小さな成功体験を積み重ねる
「自分には何もできない」「どうせうまくいかない」といった自信のなさが、将来への不安を大きくしているケースは少なくありません。
この状況を乗り越えるには、大きな目標を立てるのではなく、「これならできそう」と思えるような小さな成功体験を積み重ねていくことが効果的です。
「できた!」という経験は、自己肯定感を高め、次のステップに進むためのエネルギーになります。まずは、ハードルの低いことから挑戦してみましょう。
- 1日15分だけ、興味のある分野の資格勉強をしてみる
- ハローワークに行って、どんな求人があるか見てみる
- 就労移行支援事業所の見学や体験利用に申し込んでみる
- 週に1回、2〜3時間程度の短時間アルバイトを始めてみる
- 地域のボランティア活動に参加してみる
大切なのは、完璧を目指さないこと。「今日は少しだけ前に進めた」と自分を認めてあげることが、不安を自信に変える第一歩です。
ステップ4 キャリアプランを専門家と考える
ここまでのステップを一人で進めるのが難しいと感じたり、より具体的に将来の働き方を考えたくなったりしたら、専門家の力を借りるタイミングです。
キャリアプランというと難しく聞こえますが、「将来どんな仕事をしたいか」「どんな生活を送りたいか」という大まかな計画のことです。
障害福祉の専門家は、あなた一人では気づけなかった強みを見つけ出してくれたり、あなたの障害特性や希望に合った働き方を提案してくれたりします。
一人で悩み続ける必要はありません。次の章で紹介するような支援機関の専門家は、一緒にキャリアプランを考えてくれる心強いパートナーです。まずは「こんなことで悩んでいる」と話を聞いてもらうことから始めてみましょう。
【悩み別】無料で利用できる!障がい者の仕事の相談先一覧
あなたを支えてくれる専門の相談先はたくさんあります。
ここでは、あなたの悩みや状況に合わせて選べる、無料で利用できる相談先を具体的にご紹介します。どこに相談すれば良いか分からないという方は、ぜひ参考にしてください。
就職活動全般の相談なら|ハローワーク
ハローワーク(公共職業安定所)は、仕事を探す多くの人が利用する最も身近な相談窓口です。
全国どこにでもあり、アクセスしやすいのが最大の魅力です。「専門援助部門」では、専門知識を持つ職員や相談員が一人ひとりの状況に合わせたサポートを提供してくれます。
まずは話を聞いてもらうだけでも、次の一歩が見えてくるはずです。
| こんな人におすすめ |
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| 主なサポート内容 |
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就職準備から職場定着まで支援する|就労移行支援事業所
「働く自信がない」「仕事に必要なスキルを身につけたい」という方には、就労移行支援事業所がおすすめです。
就職に向けたトレーニングから、就職活動、そして就職後の定着支援まで、一貫したサポートを受けられる福祉サービスです。利用期間は原則2年間です。
事業所によってプログラムの内容や雰囲気が大きく異なるため、いくつかの事業所を見学・体験してから自分に合った場所を選ぶことが大切です。
| こんな人におすすめ |
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| 主なサポート内容 |
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地域に根差したサポートが魅力|障害者就業・生活支援センター
「仕事の悩みだけでなく、生活面での不安も一緒に相談したい」という場合に頼りになるのが、障害者就業・生活支援センターです。
地域の様々な関係機関(ハローワーク、医療機関、福祉施設など)と連携しているため、あなたの状況に合わせた多角的な支援ネットワークを築くことができます。就職後も生活面の相談ができる、心強いパートナーです。
愛称「なかぽつ」で呼ばれることもあり、仕事と生活の両面から一体的なサポートを受けられるのが大きな特徴です。
| こんな人におすすめ |
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| 主なサポート内容 |
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障害者雇用に特化|転職エージェント
ある程度の社会人経験やスキルがあり、キャリアアップを目指したい方には、障害者雇用に特化した転職エージェントの利用が有効です。
キャリアアドバイザーがあなたの強みや希望を深く理解し、企業とのマッチングを行ってくれます。企業側が求める人物像や職場の雰囲気といった内部情報も得られるため、ミスマッチを防ぎやすいのがメリットです。
民間のサービスですが、求職者は無料で専門的なサポートを受けられます。
| こんな人におすすめ |
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| 主なサポート内容 |
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長く続く仕事なら!農業型障害者雇用支援のファーマーズマーケットの魅力
「都会の喧騒から離れて働きたい」「自分のペースでコツコツ作業するのが好き」という方には、農業分野での就労(農福連携)も注目されています。
農業は、種まきから収穫まで工程が分かりやすく、自分の役割に集中しやすいという特徴があります。チームで協力しながらも、個々の作業に没頭できる時間は、精神的な安定にも繋がります。
特に、障害者雇用を前提とした「ファーマーズマーケット」では、安心して長く働きやすい環境が整っている場合があります。
気になる方はぜひお気軽にご相談ください。
| こんな人におすすめ |
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| 主なサポート内容 |
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知っておきたい!障がい者の仕事と生活を支える支援制度
不安を少しでも軽くするために、仕事探しだけでなく、あなたの生活そのものを支えてくれる公的な支援制度があります。
ここでは、知っておくと心強い3つの制度をご紹介します。
自分に合った働き方を探せる就労継続支援(A型・B型)
「すぐに一般企業で働くのはハードルが高いかも…」と感じる方には、就労継続支援という選択肢があります。
これは、障がいや体調に合わせて、サポートを受けながら働くことができる福祉サービスです。雇用契約を結ぶ「A型」と、より自分のペースを大切にできる「B型」の2種類があります。
| 種類 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 |
| 契約 | 事業所と雇用契約を結ぶ | 雇用契約は結ばない |
| 対象となる方 | 一般企業での就労は難しいが、雇用契約に基づき継続して働くことが可能な方 | 年齢や体力の面で、雇用契約を結んで働くことが困難な方 |
| 報酬 | 給料(最低賃金以上が保証) | 工賃(生産活動に対する成果報酬) |
| 働き方のイメージ | 決まった時間に出勤し、決められた業務を行う。一般就労に近い形。 | 週1日や短時間からでも利用可能。体調に合わせて自分のペースで通える。 |
A型はより安定した収入を、B型は社会参加への第一歩やリハビリの場を求める方に向いています。どちらも、一般就労を目指すためのステップとして活用することができます。
経済的な不安を軽減する障害年金
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事が制限される場合に受け取れる公的な年金制度です。
これは、現役世代の方も対象となります。経済的な不安を和らげ、安心して治療や仕事探しに専念するための大きな支えになります。
障害年金には、主に「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があり、病気やけがで初めて医師の診察を受けたとき(初診日)に、どの年金制度に加入していたかによって受け取れる種類が決まります。
受給には一定の要件があり、手続きも複雑なため、まずは年金事務所やお住まいの市区町村の窓口、社会保険労務士などの専門家に相談してみるのがおすすめです。
職場で必要な配慮を求める合理的配慮
「障がいがあることで、他の人と同じように働くのが難しい…」そんな働きにくさを解消するために、会社側に求めることができる配慮を「合理的配慮」といいます。
これは単なる「お願い」ではなく、障害者差別解消法などで定められた、働く障がい者の権利であり、企業に求められる対応です。
例えば、次のような配慮が考えられます。
- 物理的な環境への配慮:車いすでも移動しやすいようにスロープを設置する、机の高さを調整する
- 業務の進め方への配慮:通勤ラッシュを避けるための時差出勤を認める、口頭での指示が苦手な人にメモやメールで伝える
- コミュニケーションへの配慮:定期的に上司との面談の時間を設ける、休憩をこまめに取れるようにする
もちろん、会社にとって負担が大きすぎる場合は難しいこともありますが、合理的配慮を求めることは、わがままではなく、あなたが能力を発揮して働き続けるための正当なステップです。
一人で伝えにくい場合は、就労支援機関のスタッフなどに相談しながら進めることもできます。
まとめ
障がいのある方が将来の仕事に不安を感じるのは、決して特別なことではありません。
その不安は、一人で抱え込んでいる限り続いてしまうかもしれません。しかし、この記事で紹介したように、不安の正体を知り、行動を起こすことで安心に変えられます。
就労移行支援事業所やハローワーク、転職エージェントなどの専門機関は、あなたの強みを見つけ、ぴったりの職場探しを無料で手伝ってくれます。
一人で悩まず、まずは一歩踏み出して専門家に相談することから始めてみましょう。



